指導・育成・普及

次世代プレー環境整備プロジェクト

ピンチをチャンスに


「ハンドボール、水泳、体操など9競技を、2027年から全国中学校大会(全中)での実施を取りやめる」

全中を主催する日本中学校体育連盟(日本中体連)が、このショッキングな決定を正式発表したのが、2024年6月のことでした。
すでに民間、地域のクラブが活動の中心だった水泳などとは異なり、普及、発展、人材発掘など、多くを中学校の部活動が担い続けてきたハンドボールにとって、この決定はより大きな衝撃でした。

この流れは全国大会だけにとどまらず、ブロック大会にも波及していますが、全中での実施が存続となる競技でも、少子化や教員の負担、開催経費など、さまざまな問題に直面し、会期や参加数などの規模縮小は避けられない状況です。
部活動の地域クラブへの移行が進めば、将来的に全中の廃止を視野に検討、という声も聞こえてきます。

他の競技と比べても、ハンドボールを取り巻く状況はとても厳しいものですが、全中の動向にかかわらず、大会の再編・新設や発想の転換は、必要不可欠なものでした。
そこで、日本ハンドボール協会は、次世代環境整備プロジェクトチームを中心に、全中からの除外をピンチではなく、むしろ改革のチャンスと捉え、議論を重ねてきました。
このたび、(全中からの除外が決まった2024年からの)改革のためのプレー環境整備10年計画がまとまりましたので、その内容をお伝えしていきます。



プレー環境整備10年計画とは

改革のきっかけとなったのは、全中からの除外でした。全中に代わる大会の新設など、全国大会の改革は、もちろん大きなテーマの1つですが、実際に全国大会のコートに立てるチーム、選手はひと握りです。
全国大会に向けた都道府県の予選にエントリーしたチーム、選手の半数が初戦で大舞台への道を閉ざされます。


そうした現実を踏まえ、まず大事にしたいのが「充実した日常」です。
トーナメントによる一発勝負ではなく、リーグ戦方式など、それぞれの地域の状況に応じた方式を採用して試合数を増やし、年間を通じて試合ができる環境を目指します。
単にリーグ戦とするだけでなく、レベル別のリーグを組み、全員が試合に出場できる舞台を創出していきます。

練習→試合→試合での課題を踏まえての練習→試合、というサイクルを短い期間で繰り返していくことで、「日常」が「充実」していきます。
その先にあるのが、「輝ける舞台」です。


2027年8月から:U-15全国選手権大会を新設

47都道府県代表と開催地代表の全48チームが一同に会し、現行の春の全国中学生選手権大会(春中)のように、中学の部活もクラブも同じ土俵で戦う「真の日本一決定戦」になります。

2028年秋から:U-15 ジュニアセレクトカップ ブロック大会に発掘・育成機能を集約

現在、12月に開催されているジュニアセレクトカップに代わる大会の趣旨となる「将来、日本代表選手として活躍できる選手の発掘・育成」の機能をブロック大会に集約。ブロック単位での選手の発掘・育成に特化したものとなり、試合だけでなく、体力測定や教育プログラムも実施される予定です。

2029年3月から:U-14全国選抜大会を新設

全都道府県に出場権が与えられている現行の春中とは異なり、ブロック選抜代表が集まっての大会となり、リーグ戦、交流戦方式で実施されます。
こうしたコンセプトに沿って、プレー環境整備10年計画は2033年まで継続されていきますが、プレー環境の変化の進行具合やスタッフ、予算の確保状況、社会の流れの把握などにも力を注ぎ、再来年の2028年に計画を再検討するなど、柔軟な姿勢で取り組む予定です。

このプレー環境整備10年計画は、中学生だけを対象にしたものではありません。
その前段階の、小学生のプレー環境も整備の対象です。

2028年から:盛夏に開催されている全国小学生大会をU-12全国大会として冬季(12月)に移行

猛暑対策、さらには、中学校入学前の準備期間を創出するための変更になります。

2028年から:U-12 ジュニアセレクトカップをブロック単位で任意に実施

ブロック単位で各都道府県の選抜チームが集まる大会を新設、または既存の大会を置換します。選手の育成に特化したものとなり、体力測定や教育プログラムも実施も検討されています。

2031年をメドに:現行の「チャンピオンシップ」から「交歓大会(フェスティバル)」に移行

目先の勝利よりもハンドボールを好きでい続けてもらうことを優先させるため(早期専門化の是正)



すべては子どもたちの未来のため

ここまでお伝えしてきた改革に、少なからず不安、不満があることでしょう。
試合数を増やすこと1つとっても、会場やレフェリー・運営スタッフの確保など、戸惑いや混乱なく進められるものではありません。

それでも、こうしたプレー環境整備のための改革は、子どもたちの未来をより良いものにしていくためのものです。
子どもたちを導き、見守る大人が変われば、子どもたちはもっと輝くはず。
お伝えしてきたコンセプトをご理解いただき、いっしょにプレー環境整備に尽力していただけるよう、ご協力をお願いします。
※大会名は現時点でのもので、変更となる可能性があります。