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2026-02-01

世界選手権出場権を獲得 男子日本代表がアジアで示した現在地と課題

— 第22回男子ハンドボールアジア選手権 総括 —




男子日本代表「彗星JAPAN」は、第22回男子ハンドボールアジア選手権を4位で終え、2027年男子世界選手権への出場権を獲得しました。
メダルには届かなかったものの、世界への切符を手にした一方で、日本の現在地と課題が明確となった大会となりました。

上位4チームに与えられる世界選手権出場権を勝ち取り、日本は最大のミッションを果たしました。
次に問われるのは、その舞台で勝ち切る力です。

運命を変えた30-29——イラン戦



残り2秒——。
田中大介選手の放ったシュートがゴールネットを揺らし、日本は30-29で劇的な勝利を収めました。

予選ラウンド最終戦のイラン戦。後半中盤に最大5点差をつけられる窮地に立たされながらも、日本は粘り強く反撃。
変則的なディフェンスで流れを引き寄せると、終盤の猛追から同点に追いつき、最後はタイムアウト明けのラストプレーで逆転しました。

この勝利がメインラウンド進出、そして世界選手権出場権獲得へとつながったという意味で、今大会を象徴する一戦となりました。



日本は予選ラウンドを2勝1敗で突破。
メインラウンドでは韓国と引き分け、開催国クウェート、イラクとの接戦をいずれも1点差で制して準決勝へ進出しました。

準決勝のバーレーン戦では相手GKの好守に阻まれ敗戦。
3位決定戦では再びクウェートと対戦し、一時は4点差を追う展開となりながらも同点に追いつく粘りを見せましたが、最後は32-33で惜敗。
あと一歩のところでメダルを逃しました。

あと一歩届かなかった頂点。その距離こそが、日本の現在地を示しています。

見えた現在地——成長と課題

今大会、日本は完全アウェイの環境や崖っぷちの状況でも動じることなく戦い抜き、接戦をものにする勝負強さを示しました。
チームとしての粘り強さと多くの選手が局面で存在感を示した点は、着実な強化の成果と言えます。

一方で、上位進出を懸けた試合ではシュートミスが流れを左右する場面も見られました。
アジアの頂点、そして世界で勝ち抜くためには、局面で得点を取り切る精度が重要な課題として浮き彫りになりました。

日本代表は、確実な前進を示しました。
同時に、次のステージで勝つために必要なものもまた明確になりました。

指揮官の総括 トニー・ジェローナ監督

「世界選手権出場権は獲得できたが、目標は半分達成にとどまった」


「最も重要だった世界選手権への出場権を獲得できたことは、大きな成果です。ただし、メダル獲得という第二の目標は達成できず、4位に終わりました。目標は半分達成という評価になります。

攻撃面では大きな進歩がありました。前回の世界選手権では1試合に多くのボールロストがありましたが、今大会では平均して大きく減らすことができました。これは確かな前進です。

一方で、アジアでメダルを取り、世界で上位に進むためには、ディフェンスでよりフィジカルに戦うことが必要です。
特に、ゴールキーパーと1対1になった場面でのシュート成功率を高めなければなりません。

世界選手権を見据えると、選手たちはさらにフィジカルを強化しなければならない。トレーニングの質と強度を、もう一段階引き上げる必要があります。
簡単なミスや不用意なプレーは、世界の舞台では致命的になります。そうした部分を一つずつ改善していかなければなりません」

個の躍動——数字が示したチーム力の向上

今大会では個々のパフォーマンスが数字にも表れ、日本の総合力の向上を印象づけました。

■ 渡部仁選手
3位決定戦で国際試合通算150試合出場(歴代単独2位)を達成。今大会26得点を挙げ、大会ベスト7(ライトバック)にも選出されました。
長年日本代表を支えてきたベテランは、節目の達成と大会をこう振り返りました。

「初めて代表に選ばれた時は、自分が150試合を達成できるとは思っていませんでした。達成できたことは誇りであり、自信にもなっています。
今大会は若いチームでしたが、その分勢いがあり、流れに乗った時の強さを感じました。
一方で苦しい時間帯もあったので、そこを立て直す役割を自分が担おうという思いでプレーしました。ライトバックとしてチームを支える責任も感じていましたが、それが良い形につながったと思います。

ベスト7に選ばれたことは、アジアで評価された証だと受け止めています。36歳の自分にとって、これまでのキャリア、そしてこれからの選手生活への大きな自信になるタイトルです。
ロサンゼルスオリンピックのアジア予選を勝ち抜き、3大会連続のオリンピック出場を果たすことがチームとしての目標です。まずはアジア大会で上位チームにリベンジし、次は金メダルを目指して戦います」

■ 市原宗弥選手
自身初となる大会ベスト7(ピヴォット)を受賞。
守備の要として存在感を示した市原は、喜びと課題の双方を口にしました。

「これまで個人賞を受賞した経験がなかったので、アジア選手権で初めてベスト7に選ばれたことは素直に嬉しく思います。

チームとしては4位という結果に終わりましたが、世界選手権の出場権を獲得できたことは最低限の成果です。
ただ、個人としてはまだやれることがあったと感じています。ポストとして得点に絡み、試合の流れを動かせる場面をもっと増やしていきたい。
個人の活躍だけでなく、チームを勝たせる働きができる選手になることが今後の目標です」


大会ベスト7を受賞した渡部選手(左)と市原選手(右)

■ 吉野樹選手部井久アダム勇樹選手
ともに国際試合通算100試合出場を達成。攻守の中心としてチームを牽引しました。

■ 藤坂尚輝選手
準決勝バーレーン戦で国際試合通算100得点を達成。次世代の得点源として大舞台でも存在感を放ちました。

日本の砦——ゴールを守り抜いたダブル守護神

日本の堅守は、二人のゴールキーパーの活躍によって支えられました。

■ 中村匠選手
大会を通じて48セーブを記録。特にサイドシュートに対して高い阻止率を誇り、幾度となくチームを救いました。

■ 岩下祐太選手
要所で36セーブを挙げ、7mスローでも存在感を発揮。絶体絶命の場面で流れを引き戻しました。


世界への切符を引き寄せた守護神、中村(左)と岩下(右)

キャプテンが語る現在地と覚悟 水町孝太郎選手

「1点差の重みを、あらためて痛感した大会だった」


「良いところも悪いところも、すべてが出た大会だったと思います。
1点差の試合が本当に多かった大会でした。勝ち切れた試合もあれば、最後にメダルを逃した試合もありました。
その“1点”の重みは、前回の世界選手権でも強く感じていたことです。

この大会で感じたことを無駄にせず、選手一人ひとりが“1点の重み”を考えながら取り組んでいきたいと思っています。
次のアジア競技大会では、また中東勢と戦う機会があります。そこでリベンジできるよう、各自が所属チームに戻ってレベルアップし、しっかり準備して臨みたいです。

2027年の世界選手権出場も決まりました。これからも高みを目指して戦っていきますので、引き続き応援をよろしくお願いします」

次なる戦いへ

世界選手権への出場権という大きなミッションは達成しましたが、日本が目指すのはその先にあるさらなる高みです。

彗星JAPANは本大会で得た収穫と課題を糧に、2026年9月のアジア競技大会、そして2027年1月の世界選手権へと歩みを進めていきます。

日本が目指すのは、アジアの頂点、そして世界の舞台での飛躍。
その挑戦は、すでに始まっています。

大会期間中、現地そして日本から多くのご声援をいただき、誠にありがとうございました。
今後とも男子日本代表への温かいご支援をよろしくお願いいたします。