<機関誌2011年12月号巻頭言>


「最終のチャンスに向けて力の限り戦い抜く」



             (財)日本ハンドボール協会専務理事      川上 憲太 


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 日本ハンドボール界の悲願をかけたロンドンオリンピックアジア予選が行なわれました。
結果は、男子代表、女子代表ともに宿敵・韓国の壁にはね返され、日本のオリンピック出
場の戦いは世界最終予選へと目標が変わりました。

 この結果が出る瞬間、私は選手団の団長として選手、スタッフと共に試合会場にいまし
た。言葉に表すことができない思いがこみ上げてきました。これは全国のハンドボールを
愛する皆様と同じであったと思います。

 女子は黄監督のもとに「人が動く、ボールが動く」を合言葉に長期のハードトレーニン
グと周到な準備でこの大会に挑みました。大会直前にカタールの不出場から大幅に試合日
程、対戦相手の変更が行なわれました。それに動じることなく、アジア選手権1位のカザ
フスタン、アジア大会1位の中国を破り、チームコンディション・ムードも最高潮に達し
ていました。いよいよ決戦を迎え、前半を1点リードで折り返し、悲願達成が目前まで来
ていました。しかし韓国の驚異の粘りの前に惜しくも勝利をものにすることができません
でした。12月の世界選手権大会での活躍によっては世界最終予選での悲願達成も充分に期
待できると感じました。

 男子は予選リーグの緒戦、韓国戦では、アウェーの会場の中で韓国に存分にやられまし
たが、翌日の中国戦に勝利、オマーン戦も前半に大量リード、後半もたつきましたが勝利、
決勝ラウンドへ。準決勝のサウジアラビア戦も緊張して挑みましたが、前半にリードを奪
い有利に試合を進め何とか勝利しました。女子に続いて韓国との対決、緒戦の敗北とは変
わり前半1点差で折り返しました。しかし、またまた韓国の粘りの前に屈し、男子も世界
最終予選出場となりました。来年1月のアジア選手権(世界選手権予選)を好結果で終え
ればまだまだ「何が起こるかわからない」戦いとなります。世界最終予選では男女とも日
本代表選手の力の限りの戦いを期待したいと思います。

 前回の北京オリンピックアジア予選で起きた「中東の笛」については、その後日本協会
もIHF、AHFに働きかけ、AHFも猛反省の上で最近のアジア大会においても全く問題なく行
われておりましたが、まだ懸念が残っておりました。しかしIHFプラウゼPRC委員長の管理
のもと、大変フェアなジャッジが展開されました。これはハンドボールの発展にとって誠
に喜ばしいことだと感じました。

 中国、韓国まで応援に来てくださった皆様、本当にありがとうございました。選手にと
って本当に何よりの力となったと思います。また国内で日本代表チームを応援いただいた
皆様に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 日本協会は「世界を奪い返す」「アジアNO.1に返り咲く」を目標に「強化にすべてのベ
クトルを合わせる」を基本方針として事業を推進してまいりました。日本代表の強化は言
うまでもなく、NTSの推進、ジュニアアカデミーの充実、U-16から始まる各カテゴリーの
強化、指導者の育成等における強化体制の充実、レフェリーの強化、小学生・中学生・高
校生・大学生大会の充実、日本リーグの活性化、国際活動、マーケティング、広報活動他、
すべてが強化・国際競技力向上の目的に向っていることがこの基本方針の真意です。

 果たして「真の充実、活性化、強化がなされていたか」、「魂の入った活動」が行なわ
れたか、すぐにこの点の検証を行ない、対策、改革に取り組む作業をスタートいたしまし
た。今年度中にできる改革、また来年度の事業計画での改革を実現させたく思います。
皆様の忌憚のないご意見、ご提案もぜひ頂戴したいと考えています。宜しくお願いいたし
ます。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2011年12月号より転載