いよいよハンドボール界の最大の目標である「オリンピック出場」をかけた時が迫って
きました。ナショナルチームの各メンバーの最後の最後までの頑張りに期待したいもので
す。あわせて、ナショナルチームの各メンバーを含め、日本中のハンドボール関係者は、
4年前の豊田予選会、東京での再試合の結果、「次こそは!」と誓ったことを思い出し、
一人ひとりが、今できることを確実におこなって、ロンドンオリンピックへ向かって突き
進んで行きましょう。
喫緊の目標はこれですが、日本の実力が試されるオリンピックや世界選手権は今後も続
いてゆきます。息の長い普及指導強化が必要なことは言うまでもありません。
先回の北京オリンピック予選が終わった直後の「春中」こと第3回全国春の中学生ハン
ドボール選手権大会において「世界で戦うため養わなければならない『強い心と技』の育
成」を提案し、それ以降、具体的な指導資料として「金・銀・銅」「エンジョイハンドボ
ール1,2」、「少年期における体力づくり」、「NTSにおけるU−12の指導法」、等々を提
供してきました。
全国小学生大会や中学生JOC大会のここ数年の様子から、この時期の子どもたちのレベ
ルは着実に向上してきていますが、昨年の各カテゴリーの世界大会での結果からは、世界
で通用する実力までには未だ到達していないと考えざるを得ません。
「ローマは1日にして成らず」の諺のように「強い心と技」の育成には少年期から綿密
に、段階を踏んだメニューが必要です。スタートしてから10年を過ぎたNTSでは、昨年度
来、NTS指導内容策定委員会において@小学生から大学生までの指導の現場の課題は何か、
Aナショナルチームの課題は何か、Bチームジャパンとしての特色あるハンドボールはど
んなスタイルか、の観点で検討を重ねてきました。
その結果、第一に、日本のハンドボールが取り組むべきことは、正確で早いパスワーク、
いかなる場面からでも得点できるシュートカ、一試合を走り続ける体力、等の向上です。
これは当たり前のことで、わざわざ取り上げることのようでは無いと思われがちですが、
これこそが「世界で戦うため養わなければならない技術・体力」であります。
これまで、どの国際大会や国内大会においても、つねにこれらの不足が反省点として挙
げられ続けています。このハンドボールの基本技術・基礎体力の向上を徹底してこそ、そ
れらを基にした応用的なプレーの展開、さらには創造的なゲーム運び、という一貫性をも
った指導が可能になると考えています。このことは、ひろくハンドボールを楽しんで取り
組んでゆく普及の基となることは言うまでもありません。
今年度のNTSでは「基本技術の徹底、基礎体力の向上」の原則を提示します。これを基
に指導者の方々はそれぞれ指導方法を工夫されることを期待しています。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2011年8月号より転載
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