オバマ・アメリカ大統領の言葉を借りれば、日本ハンドボール界は今、「We can change!
日本ハンドボール」と変わらなければなりません。1972年のミュンヘンオリンピックに出
場して以来、連続出場していた日本男子チームは1988年のソウルオリンピックが最後とな
り、以来、今年で21年もたってしまいました。女子にいたっては1976年のモントリオール
オリンピックの1回だけで、実に32年も経過してしまったことになります。次のロンドン
オリンピックには男女ナショナルチームの出場を果たすと同時に、世界で上位に進出し、
メダルを取れるチームになってほしいと願っております。さて、アメリカでは、キング牧
師が「私には夢がある」と演説してから45年後、オバマ大統領候補が大統領選挙を通じて
アメリカは変わらなければならないと訴え、「Yes, We can change !」のスローガンの元、
その夢を実現させました。しかし、日本ハンドボール界は「夢がある」ではすみません。
オリンピックへの出場、世界で上位のポジションを獲得することは決して夢ではなく、現
実のものにしなければならないのです。そのための「We can change! 日本ハンドボール」
であります。
同様に、日本ハンドボール界の「We can change !」は、日本ハンドボール各組織の変
化であります。競技運営部は競技の円滑な運営を図るために、毎年4月1日付けで各種の通
達を出しています。平成21年度は4月の通達に加え、新たな「We can change ! 競技」の
一環として、7月31日付けで「大会開催マニュアル」を協会のホームページに掲載しました。
平成15年に、「大会開催マニュアル」を冊子体として発行して以来の改変であります。し
かも、従来有料であった情報源を、いつでも、どこでも、誰でもが情報を共有することが
でき、しかも無料で手にすることができるものであります。今後は追補等を加え、大会開
催マニュアルの改訂を行っていきます。ホームページに掲載する方式は冊子体で刊行した
発行物と違い、常に最新の情報の共有をした上で各試合に臨めることとなります。
一方、平成21年度の競技運営部は基本方針として、日本選手権(仮称)実施を検討する
ことを表明しました。現在、日本選手権に一番近い大会形式が全日本総合選手権でありま
す。しかし、全日本総合選手権はそれぞれのカテゴリー、すなわち日本リーグ、全日本学
生連盟、ジャパンオープン、日本協会推薦チームが出場する、いわゆる各カテゴリーチャ
ンピオンズカップであります。それを、日本協会の加盟団体である各都道府県協会選手権
大会の優勝チームがブロック選手権に出場し、さらにその優勝チームを決める大会が日本
選手権(仮称)であります。勿論、出場できるチームは小・中学校を除く高校、大学、一
般、日本リーグのすべてのチームとし、文字通りの日本一を決める大会として設定します。
サッカーの天皇杯をイメージして頂ければ良いかと思います。数年前にこの構想を提示し
たことがありました。しかし、大会が増えると運営が大変だとか、選手が大会の連続で休
む暇がない等の指摘を受けたことがあり、構想は実現しませんでした。しかし、ハンドボ
ール界にあっての球界の活性化とは、大会数を増やすことであり、試合数を増やすことで
あると考えます。是非、都道府県協会の代表チームが日本一の栄冠を目指すこの大会の設
置構想を進めていき、早急に実現させていきたいと思っています。
また、一般クラブと呼ばれるチームにとって、所属する団体は各都道府県協会だけであ
ります。その方式を、高校、大学、実連チームが都道府県協会と各連盟に所属するように、
各クラブチームも各都道府県協会に所属し、さらに社会人連盟(仮称)に所属するかたち
に変える構想を持っております。換言すれば小学生、中学生、高体連に所属する高校生、
高専体協に所属する高専生、学連に所属する大学生、そして日本リーグを除いた選手、チ
ームはすべて社会人連盟(仮称)に所属するということです。従来のクラブチームを束ね
ている組織がある都道府県はそのまま社会人連盟と名称変更して頂き、組織化されていな
い都道府県については新設して頂き、リーグ戦を中心に競技を編成することによって、各
都道府県の優勝チームが現在開催されているジャパンオープン、クラブ選手権に出場して
いくプレーオフ方式をとることで、試合数の増加を狙っていきたいと考えます。この試合
数の増加は選手、チームの強化にもつながり、また愛好者のさらなる楽しみをも増加させ
るものと考えます。
今後、全国の皆様方のご意見を賜りながら、国体開催時の全国理事長会議、全国理事会、
全国評議員会に諮り、年度内の組織化実現に向けて計画し、数年後の完成年度に向けて体
制づくりを進めていく所存ですので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2009年10月号より転載
|