<機関誌2009年9月号巻頭言>


「次代を担う若手レフェリーの育成」



                  (財)日本ハンドボール協会常務理事  植村 彰 


kantogen-0909
 平成21年度4月より島田房二前審判部長に代わって審判部長の大役を仰せつかることに
なりました。審判部長として就任したこれからは、私が今までお世話になった感謝の気持
ちと少しでも恩返しが出来るよう粉骨砕身の思いで指導に当たっていきたいと考えていま
す。第1回常務理事会で、日本ハンドボール協会、最大目標である次のロンドンオリンピ
ック男女出場、世界選手権出場、メダル獲得の実力をつける事に向けて、各部署(事業)
がそれぞれの重点目標を明確にし、総力を結集して取り組んでいくことが確認されました。

 審判部では、強化と審判は目的を達成するための両輪であり、双方の関係が常に密接な
関係にある事を念頭におき、審判技術の向上を目指し次のような施策を考えています。

 【重点施策】1.  競技規則の正しい運用    ・2010年新ルールの正確な伝達
       2.  トップレフェリーの資質向上 ・次代を担う若手レフェリーの育成
       3.  YRPの実質的な運用    ・NTSとの連携を密接に
        4.  国際レフェリー育成     ・IHFヤングレフェリー
                         ・レフェリーコース開催の実現

 ◎競技規則の正しい運用について……先日、7月27日〜8月1日までの5日間、チュニジア
  で開かれたコーチ・レフェリーシンポジュームに参加してまいりました。大幅な改正
  ではありませんが競技規則8条を中心に幾つかの変更点が伝達されました。中でもス
  テップの基準歩数の数え方に変更があります。ただ今、競技規則研究委員会と共に混
  乱を招かないための正しい伝達方法を検討しています。IHFでは、2010年8月実施を
  決定しています。国内では2010年4月実施をめざし準備を進めています。また、「正
  しい伝達」と言う観点から、全国規模のコーチ・レフェリーシンポジューム開催を考
  えています。

 ◎トップレフェリーの資質向上について……国内でのトップレフェリーの高齢化が進む
  中、次代を担う若いレフェリーの育成は必至であります。全国大会をはじめとする国
  内トップのゲームである日本リーグのゲームを担当出来るレフェリーを育成していき
  ます。

 ◎YRPの実質的な運用について……YRP(ヤングレフェリープロジェクト)の意識は、各
  都道府県でも徐々に高まってきているものの十分と言える段階にまでは到達出来てい
  ません。若い素質あるレフェリーの発掘のためにも積極的な働きかけが求められてい
  ます。先代審判長の強い願いでもあるこの事業については、NTS のトレーニングメニ
  ューに選手強化と合わせてレフェリー強化も組み込まれ、選手の育成と合わせてレフ
  ェリーの育成にもつながるよう連携を深めていきたいと考えています。

 ◎国際レフェリーの育成について……先述したコーチ・レフェリーシンポジュームで、
  ヤングレフェリー育成を積極的に取り組んでいく内容の講義がありました。IHF (ヨ
  ーロッパを中心とする)では18〜30歳までの優秀なコンチネンタルレフェリーを対象
  とし、IHFが考える育成プログラムを受講、若い年齢でIHFの資格を取得させ、IHFが
  主催する各大会にノミネートしている話がありました。事実、チュニジアで開催され
  ていた、2009世界男子ユース選手権のレフェリー団は26〜32歳という、若い年齢で構
  成されていました。世界の流れから国内では、国際につながる若手レフェリーおよび
  女性レフェリーの育成と発掘が急務であります。

 現在国内のコンチネンタルレフェリーは2ペア。しかし、年齢的にAHFからのノミネー
トはありません。そのためにも出来るだけ早い時期に国内でコンチネンタルレフェリーコ
ースが開催出来るようAHFに強く働きかける必要があります。この他にも審判部として取
り組んでいかねばならない課題は山積されています。先に述べたとおり、「強化と審判は
両輪」の意識を絶やさず関係者および関係機関の連携を密にし、ハンドボール競技発展の
ために取り組んでいきたいと考えます。ご協力宜しくお願い致します。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2009年9月号より転載