<機関誌2008年12月号巻頭言>


「アジアNo.1に返り咲く為に」



            (財)日本ハンドボール協会強化本部長(常務理事)  西窪 勝広 


kantogen-0812
 「敗軍の将、兵を語らず」日本の伝統であり美徳なのかもしれませんが、過去の反省を
踏まえ監督に限らず強化部首脳、チームスタッフ等、何が良くて何が悪かったかを総括す
ることが大切です。様々な立場の方々の共通理解のうえで、広く伝えていく強化体制が不
可欠であり、幅広い層から意見を求めることで明日に向けての一体感もより強まると感じ
ています。

 昨今は分析班の充実も図られてきました。今までの諸外国との対戦データなどをリセッ
トすること無く、良い面、悪い面共々、しっかりと検証を加え、蒲生前強化本部長の築き
上げたことを引き継ぎ、新しい強化体制とチームを構築していくことが私の大きな役割と
認識しております。

 アジアNo.1に返り咲く為には、各カテゴリーで韓国に勝つかそれに等しい成績を収めて
いかないと、日本代表チームだけで韓国との差を埋めることは厳しいと感じます。

 その為にも、NTSで発掘された選手を各カテゴリーで育成していく中で、基本技術・
戦略を徹底教育しつ、ナショナルトレーニングセンターを有効に活用します。とりわけ
JHAジュニアアカデミーにおいて日本を代表するエリート教育を実施し個人技能、能力
のレベルアップを図り、アジアで戦えるスキル教育にも取り組んでいきます。

 ハンドボール関係者に強化策の情報を共有して頂く為に小、中、高、大学との連携を図
り、NTS一貫指導体制での選手発掘、育成に再注力し、JHAジュニアアカデミーに結
びつける体制を構築してまいります。

 指導者育成も大きな重点項目であり、JOCコーチアカデミーと連携を図り日本協会独
自の指導者育成や、審判部・技術委員会とも情報を共有し強化に努める必要性を痛感して
います。


 単純に比較することは出来ませんが「3年後の2011年にオリンピック予選に勝ちロンド
ンに行く」という使命を皆様の立場に置き換えれば、学校、会社を挙げての一大プロジェ
クトと捉えています。

 重要ポストに就いて、其のプロジェクトを推進していく立場が私の役割と責任の大きさ
を痛感しておりますが、皆様のご協力が無けれぽこのプロジェクトは成功しないと思いま
す。

 関係各位のお力とお知恵を頂きながら、アジアNo.1に返り咲くように精進してまいりま
す。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2008年12月号より転載