<機関誌2006年5月号巻頭言>


スポーツ振興基本計画からハンドボールを考える



                  (財)日本ハンドボール協会常務理事   村松 誠 

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 現在のスポーツに関する基本的な考え方として、スポーツ振興基本計画が大きな影暮力
を持っていることは紛れも無いことだと思います。ここではスポーツイコールハンドボー
ルとして考えることが出来ると考えています。

 このスポーツ基本計画の根拠は、スポーツ振興法に求めることが出来、これは昭和39年
の東京オリンピックに遡ることが出来ます。現在のスポーツ振興基本計画は、社会状況、
世界的なスポーツ界の変化を踏まえつつ、平成11年に保健体育審議会から「スポーツ振興
基本計画のあり方について」という答申に基づいています。

 この中で、総論、また計画のねらいとして、「人生をより豊かにし、充実したものとす
る」、「明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発違に必要不可欠
なもの」と位置付け、21世紀における明るく豊かで活力ある社会の実現を目指す」として
います。これらのことを実現するため、具体的な課題として3項目を挙げています。

 これらの「人生をより豊かに充実し、明るく活力に満ちた社会に実現」を我がハンドボ
ールに振り返ってみれば、「いつでも、どこでも、だれでも、自分にあったやり方」での
ハンドボールが存在することが大切であると思えます。これはだれでもハンドボールに親
しめるという環境が存在するということで、例えば障害者でもハンドボールが楽しめ、年
齢を重ねてもマスターズハンドボールで楽しめ、才能のあるハンドボールプレーヤーが世
界のトップも目指せるハンドボール環境があることだと考えています。

 日本ハンドボール協会のプロジェクト21は、これらを達成するための考え方を示してい
るものです。ハンドボール先進国であるデンマークやドイツでのハンドボール競技者登録
人口のその国の総人口比率を見てみれば、デンマークで2.5%、ドイツで1%です。デンマー
クでは、人が 100人居れぼ2人はハンドボール選手がいるということで、ドイツでは1人は
ハンドボール選手であるということです。日本では 0.06%であり、2000人居てやっと一人
のハンドボール選手を見つけるかということになります。その普及度の違いにハンドボー
ルに関する関心度に違いを見ます。例えばデンマークではテレビ放映に関して、ハンドボ
ールの放映時間の多さに批判が出ているほどです。さらに、少子化を克服したデンマーク
では、少子化の中でもハンドボールの競技人口は増えているという事実は我々にも示唆を
与えてくれると思います。

 ハンドボールの発展がどのようなことか、どのように進めていくかは、ハンドボールに
関わる人すべての間題であります。多くの議論がなされることが必要と考えていますし、
機関誌はそのツールとして重要な位置付けがあるように思います。スポーツ振興基本計画
だけでなく、色々な切り口のご意見が戴ければ更なる発展に繋がると思います。読者に終
わることなくご意見を頂きたいと考えています。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2006年5月号より転載