<機関誌2005年8月号巻頭言>


危険なプレーの阻止とスピード感あるハンドボールを求めて
   〜審判委員長就任挨拶と新ルールの施行に当たって〜



                   (財)日本ハンドボール協会常務理事  島田 房二 

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 齊藤実前審判長の後を引き継いで常務理事として審判長の仕事をさせていただくことに
なりました。昭和47年から安藤審判長のもとルール研究委員会のお手伝いをさせていただ
き、岡前・大塚両審判長の指導で平成4年バルセロナオリンピックに審判員として参加さ
せて頂きました。平成7年齊藤審判長のもと、審判審査委員を命じられ、自分なりに審判
員の指導に全力を傾け、視聴覚を使った指導に力を入れてきました。今年は審判指導用の
DVDを作り、初心者審判の指導方法の確立等考えていたところ、突然の審判長就任依頼
があり、固辞していましたが、現ルール研委員長を初め、今まで齊藤審判長に協力し、支
えてくださっていた各審判員の声で引き受けさせて頂くことになりました。自分自身、審
判員現役中に各種全国大会での審判や、バルセロナオリンピックに参加できたことで、ハ
ンドボールだけでなく人としての道を指導してくれたハンドボール界に少しでも恩返しが
出来ればという考えからです。

 すでにご存知の通り8月1日から新ルールでの大会が始まります。IHFの審判委員長
もアメリカ人のアール氏に変わり、新ルールでのIHF管理下、初の新ルールの大会が第
15回女子Jr世界選手権2005(チェコ)で開催されます。幸いこの試合に家永・福島両国際審
判員がノミネートされました。新ルール最初の試合にノミネートされたことは審判界にと
って非常に意義のあるスタートが出来ると思っています。審判界も競技者同様北京オリン
ピックに向けてのスタートを切るべき年、重要な大会にノミネートされたことを、ただ喜
ぶだけでなく次に進めるべきステップにしなければいけません。IHFでは、6月21日か
らタイ・バンコクでコーチレフェリーシンポジウムを開催し、新ルールでの細かい運用な
ど伝達されました。審判部からは国際担当の後藤登氏が参加し、その内容をトップレフェ
リー研修会等で伝達してくれることになっています。シンポジウムに続いて開催されるア
ジアユース選手権には昨年度大陸レフェリーとなった安田・永春氏がノミネートされまし
た。

 国内でも8月1日から各種全国大会が新ルールで開催されます。大会に出場するチーム
と審判は新ルールの内容を確認しつつ最高のコンディションを目指して練習に励んできた
ことと思います。新競技規則の条文が5月中旬にIHFから発表されましたが、現在ルー
ル研究委員長を中心に新しい競技規則書を作成しております。新競技規則書の内容は今ま
で審判合同会議及び機関誌、ハンドボール協会ホームページで発表された11項目の変更で、
7mスローコンテストの方法等細かな変更はありますが、試合運営上は問題ありません。新
ルールの基本理念は危険なプレーの阻止とスピード感のあるハンドボールだと思います。
この理念に基づき、練習成果を十分に発揮してより良い結果を求めて下さい。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2005年8月号より転載