2004アテネオリンピックは日本選手団の大活躍で日本国民に「感動と勇気」を与えまし
た。メダルは柔道・水泳・体操・陸上などで37個を獲得し、100名 を超える入賞者も出て
います。このような素晴らしい成果の反面、オリンピック種目の中で、出場できなかった
のは「ハンドボールと近代五種」だけでした。ソウルオリンピック以来、エントリーでき
ないこの状況を「何とかして、20年振り北京オリンピックに出場」し、もう一度世界の舞
台に立ちたいと考えるのは、ハンドボール界の総意です。今回、強化本部長就任にあたり、
オリンピック出場権獲得を第1課題とし、将来にわたり世界で常時活躍できるように、日
本ハンドボール界の強化指導育成環境の「構造改革」を実施していきたいと考えます。
1972年日本がミュンヘンオリンピックに初出場した時から、現代までの間にアジアや世
界の情勢は大きく変わってきています。世界各国は「新しい取り組み:競技者の発掘・育
成・強化と指導者養成と育成、そしてそれぞれの専任化:プロ化」を中央競技団体が主体
性を持ち、国家のバックアップを受けながら必死になって構築し、実行してきました。そ
の結果、フランス・スペイン・アフリカ・南米・中東など、過去世界の強豪でなかった国
々が、オリンピックや世界選手権に常に出場、上位にランクされるまでに強化され、結果
を残してきました。日本ハンドボール協会も、諸先輩の並々ならぬ努力の結果、20世紀の
強化結果が残されたと思います。さらに今後は、21世紀の取り組みとして、「ナショナル
トレーニングシステム(NTS):競技者育成プログラム」をシステムとして、日本ハンド
ボール界の総意を傾注し、競技者の発掘・育成・強化と指導者の養成・育成を実施してい
きたいと考えます。また、各年齢層の Underナショナルチームは、全国の指導者の皆様方
と Underスタッフチームが協力して、NTSから発掘し、少数精鋭集団で継続的に強化・
育成していきたいと思います。当然ながら、力の発揮できない者や怪我をした者などは常
時入れ替えを実施し、「ナショナルチーム以外の選手は全て候補選手」としてステイタス
とモチベーション、さらに競争意識を持ってもらいたいと考えております。また、各年代
カテゴリーの強化活動は各年代の皆さんが積極的な協力体制を持って強化育成していくこ
ともお願いしたいと思います。
最大の目標は「北京オリンピック出場」です。2007年開催予定の北京オリンピックアジ
ア予選の日本開催誘致、日本代表チームの強化、そして財政確保が最優先課題です。スタ
ッフ陣の強化、選手の強化・育成を実施していくことは当然ですし、その上で重要なのは
日本リーグの強化であり、日本代表チームスタッフと充分な連携をとっていかねばなりま
せん。世界の強豪国は選手もスタッフもプロです。同じレベルで強化しない限り対等の勝
負は困難であります。従って、プロ化検討プロジェクトを立ち上げて検討していきます。
中長期的な強化・育成については、NTSを柱に実施し、指導者スタッフの養成と育成
のためにトップコーチ研修を日本リーグコーチや大学・高校チームコーチなどを対象に開
催したいと考えております。選手の発掘育成については、2000年からスタートしましたN
TSを県レベルに該大し、都道府県での取り組みを実施する中で、クリエティブな選手な
どの情報を都道府県→ブロック→センターと推薦していただくことによって実施していき
たいと考えております。本年は、このような考え方を「セクションを越えた協力体制」と
して、競技者育成技術委員会を通じて体制構築してまいりたいと考えます。皆様のご協力
・ご支援をよろしくお願いいたします。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2005年1・2月合併号より転載
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