<機関誌2004年3月号巻頭言>


入るを量りて、出ずるを為す



            (財)日本ハンドボール協会常務理事・財務担当  松原 光三 

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 今期、日本協会最大のビッグイベントであった、アテネオリンピックハンドボール競
技アジア地区予選兵庫・神戸大会を、無事滞りなく終えた平成15年度も、期末を迎えま
した。

 振り返って、この大会の開催にあたり各方面や、関係各位の方々の多大なる支援(人
的支援・物的支援・金銭的支援)を頂きました。

 改めて、各協賛会社の皆様、また、大会の委員としてご協力いただいたボランティア
の皆様、そして各試合毎に熱き大声援を頂いたサポーターの皆様、さらに地元兵庫・神
戸はもとより、全国各地から支援して頂いたハンドボール関係者・愛好者の皆様に厚く
お礼申し上げます。

 特に、平成12年度からスタートしたアテネオリンピック強化特別プロジェクトの3年
間に亘る諸活動(海外拠点の設置・留学生の派遣・国内外での国際試合の増加・海外遠
征を含む長期強化合宿等)の財源につきましては、日本リーグ加盟チームの特別支援、
及び協賛各社の暖かい後援活動にて予算化する事ができ、一般会計の予算とほぼ同額程
度の、近年まれに見る大型の財政投資を実施し、強化事業を行う事ができました。

 その結果として、日本ハンドボール界の悲願であったオリンピック出場という大金星
を逸したとはいえ、この強化事業が、長年勝利に見放されていた宿敵韓国に、男女とも
に引き分けるという大きな成果を果たしたのではないかと確信しております。

 北京オリンピックに向け、『強い日本復活』のため、今後とも、この強化事業の内容
をよく検証し、より実りのある。より効率の高い事業を選択し、NTSと連携を密にし
て、諸政策を実践していかなければならないと思います。

 そのためにも、この強化・普及の諸事業の円滑な推進には、健全で安定的な財源の確
保が必要であり、その基盤の確立のもとで運営していかなければならないと思います。

 しかしながら今、スポーツ界を取り巻く環境は、経済的にも社会的にもきびしい状況
にあります。もちろん、ハンドボール界についても同様で、平成16年の予算編成にあた
って、企業チームの活動停止や、協賛企業の撤退などにより、協賛金は従来のように期
待できない状況にあり、緊縮財政を組まなければならない状態にあります。

 当然、支出についてもこれまでの事業内容をよく精査し、投資効果、費用対効果を十
分見極め、経費削減を図っていかなければなりませんが、収入面についても、マーケテ
ィング委員会を中心に検定事業等を再検討し、更には、協会運営の原点とも言える健全
な財政運営のため、登録金の改革を進めていかなければならないと思います。

 将来に亘り安定した財源の確保のため、全国のハンドボール愛好者の皆様の、ご理解
とご協力をお願い致します。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2004年3月号より転載