長い間準備してきたアテネオリンピック予選が終わった。男子韓国戦、残り3秒のフ
リースローで1点入れていれば悲願のオリンピック出場が果たせた。残り7秒、2人退
場で6対4、パワープレイで同点にしておけば、後の展開は違っていたものになってい
た女子。猛烈なる応援のなかであと一歩のところでオリンピック行きの切符を逃してし
まった。
全日本男女チームは期待を一身に背負って奮闘してくれました。久しぶりに見る選手、
関係者、ファンの一体感であった。ここに至るまで多くの皆様方、団体に大変なご支援・
ご協力いただきましたことに心よりお礼申し上げます。
アテネ特別委員会が3年前に発足し、留学制度や国内ナショナルサーキット、海外遠
征による強化など、従来にない強化を男子チームには行ってきた。女子も海外遠征や4
月からの 100日強化合宿など厳しいトレーニングを行い大会に備えた。精一杯やったと
いえども、オリンピック出場を逃したことは、日本協会として多くの皆様の期待に添え
なかったものであり申し訳なく責任を感じております。
今回の結果を土台として、いかに今後に繋げていくかが、日本協会の課題であります。
課題達成のためには、今後とも構造改革・プロジェクト21を強力に進め、以下の3つの
目標を挙げたいと思います。
(1) 2010年にハンドボール人口を日本で野球・サッカーに次ぐ3位にする(小学生
を中心とした地域ハンドボールチームの育成)。
(2) オリンピックに常時出場し、メダルを獲得できる実カをつける。
(3) (財)日本ハンドボール協会が人、物、金で自立化する。
これらを2005年に完成していくことを目標に協会活動を進めていきます。普及と強化
を達成するための施策を統合して進めていくのがこのプロジェクトでありますが、その
象徴は強いナショナルチームと世界に通用するプレイヤーの出現です。
1997年熊本での世界選手権のおり、World Handball Player of the year としてドイ
シバェフ(男子)、イム・オキョン(現在メイプルレッズの監督兼選手)両選手表彰さ
れたことはご存知のことと思います。この賞は世界のハンドボール関係者、ファンから
世界最高のプレイヤーのお墨付きをもらうものです。今大会ではこの賞をもらった選手
では日本戦で11得点したユン・キョンシン選手(韓国、203cm、サウスポー)、 中国女
子のザイ・チャオ(32歳・178cm)が出場しています(韓国男子 ペク・ウォンチュル選
手は今年度4位の得票を得ている)。結果的には世界No.1の選手を擁した韓国男子と中
国女子がオリンピック代表権を得たことになります。
今後、日本としては世界のエースとなるプレイヤーを是非とも育成しなければなりま
せん。このためにはナショナルチーム強化策をさらに充実したものとしていくとともに、
Pro.21の具体的施策の一つである小学生3000チームの育成、それと平行してNTS、指
導者育成等諸施策を都道府県協会・連盟と中央協会とが一体となって取り組んでいく必
要があります。
日本協会はハンドボール関係者の皆さんとともに頑張っていきたく思っています。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」12月号より転載
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