「犬の子は犬にしかなれないが、人の子はオオカミにもなれる」ということは、
1920年にインドで発見された「オオカミに育てられた子」によって見事に証明されて
います。
このことは「人」は、その成長する過程で受ける教育や訓練で、様々な能力を身に
つけることができ、「オオカミ」にもなってしまう「可塑性」を持っているというこ
とです。
この「可塑性」の高い成長期においても、それぞれの能力を身につけるのにもっと
も適した年代があると言われています。反対に、その時期を失して、後になって身に
つけようとすると、時間がかかりすぎたり、十分に身に付かなかったりする場合が多
いのです。これを人間の発達上での「適宜性」といいます。
特にスポーツにおいては、これまでに様々な研究の結果、9〜12、3才頃を
「GOLDEN=AGE」と呼んで、あらゆる能力を身につける最も大切な時期としてとらえて
います。
今年度から始まる、公認J級指導員制度は、この「GOLDEN=AGE」を中心とした15
才頃までの指導者層の充実を目指して新たに設けられたものです。指導者は、子ども
の体の発育、心の発達、さらには思考力を高めるような、子ども理解をする必要があ
ります。
その上で、ハンドボールの基礎的基本的な技能の習熟はもとより、スポーツをする
楽しさ、自ら考え発見する楽しさを味あわせるための指導のポイント等々について研
修を積み、指導者としての資質を獲得することが、この制度のねらいです。
本年度からは学校5日制もスタートし、ますますスポーツ指導者の質の高まりと、
資格取得による質の保証が求められてきます。各都道府県協会を中心として、多数の
有資格者を養成し、学校や地域の求めに応じた活用を進めていきたいと考えています。
また、今年で3年目を迎えるNTSも、このことを十分に考えながら、一環指導の
内容の充実を図り、ハンドボールの広がりと、その基盤に根付いたトップアスリート
の育成を目指しています。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」5月号より転載
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