2001年1月シドニーオリンピックアジア予選に敗れ、日本協会は、いち早く次期
アテネオリンピック出場をターゲットに強化プロジェクトをたちあげた(アテネ特
別強化委員会設立 会長 岩井正樹氏)。
如何なる方法を用いてもアテネオリンピックに 100%出場する。強い信念の元、
色々な企画をたちあげスタートしたが、諸問題が多く実行には及ばなかったものの、
強化に関しての動きはでてきた。
2001年本格的に計画の実行に入る。留学生の派遣(スペインリーグに6名)、海
外拠点(スペイン・カタルニア)の設置、賞金試合(ナショナルα・βで4試合)
の実行、国内国際試合(アジアナショナルサーキット、ジャパンナショナルクラブ
カップ)、海外遠征。昨年は国際試合が7試合と少なかったが、今年度の日本代表
選手は、国内、国際でのナショナルマッチは、30試合と多くの国際試合を経験した。
春のアジアナショナルサーキットでのアジア各国の戦力の分析チーム、チーム力の
チェックをした。特にナショナルα・βのチーム編成による選手各々の競争力、精
神力の向上が伺えた。東アジア大会には3名の選手をα・βで変更して臨んだ。成
果はすぐに出なかったが、その後の欧州遠征、強化試合等で徐々にチームに連帯感
が生まれ、戦う姿勢が見えて来た。度重なる試合において代表チームの中での自分
の役割、何をすべきか、また試合に一戦一戦勝つことにより一人一人のモチベーシ
ョンが上がってきた。チーム戦力としてはGKを中心とした守りを重視し速攻に繋
ぐ日本固有のハンドボールが展開された。また、アジアナショナルサーキット、東
アジア大会より懸案事項であった速攻を中心としたスピードハンドボールでは本来
の力に戻ったが、ナショナルマッチのパワーについては、強化の重大な今後の課題
である。国内シーズンに入り相当強い信念を持って体力の強化に務めなくてはなら
ない。世界選手権アジア予選を勝ち抜くためのフルタイムハンドボール活動を、現
状のスポーツを取り巻く環境、業務関係、所属チーム、家族等の問題で断念せざる
を得ない。アテネオリンピック出場のためには今回の世界選手権には必ず出場すべ
きである。
女子代表強化については、今年12月にイタリアで開催される世界選手権に出場す
る。
代表スタッフ伊藤監督、黄コーチ体制で3年半日本代表チーム強化をして着実に
力を付けている。東アジア大会では、前半をリードし、後半も終始リードしたが大
事な所で退場者を出し韓国に惜敗し、また、8月のソウルカップにおいても、ウク
ライナ、ロシアと世界の強豪を相手に互角の戦いで僅差で敗れた。世界選手権にベ
スト10入りが期待がもてるようになった。また、9月の欧州遠征では、学生、故障
者を除いた13名の少人数で12試合(ナショナルチーム、強豪クラブチーム)行い7
勝5敗と好成績を収めた。少人数のため苦しい遠征となったが、その中でナショナ
リズムが強く現れチーム一丸となり戦えた結果である。世界選手権での上位を狙う
自信をつけた遠征であった。また、今年度よりスカウティング、分析班の活動が加
わりスタッフ、選手のサポート体制が機能し、試合の映像がその日の内に整理され
記録データが分析され、スタッフのチーム戦術が選手全員理解のもと、戦いが行わ
れるようになった。世界選手権に向けての準備は着々と進んでいる。希望のもてる
女子日本代表である。
アテネを目指した男女日本代表チームは、順調に強化が進んでいます。強化には
後退、足踏みは許されません。さらに強い代表チームを目指して頑張っていく所存
です。日本全体でサポートして戴きますようお願い申し上げます。
(財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」11月号より転載
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