<機関誌2001年8月号巻頭言>


「ふれる! あじわう! つづける!」





         (財)日本ハンドボール協会常務理事    角 紘昭

            (普及特別委員会会長)

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 『59.5:6.3』この数字は、ある大学の学生が行った「現在おこなっているスポ

ーツを始めた時期について」現役の学生、社会人を対象とした調査 *(1) の中で、

小学生の時から始めたサッカー(59.5%)とハンドボール(6.3%)の割合です。

このほかにバスケットボールは49.5%という結果が出ています。サッカーやバス

ケットボールは、現在の小学生は全員が小学校の授業で必ず学習し、授業後のス

ポーツ活動でも経験する機会の多いスポーツです。さらには、新聞・テレビ等の

マスメディアにも日常的に報道され、子供たちの目にも触れる機会も多いといえ

ます。



 スポーツを普及させるには、早い段階から触れさせる事がとても有効だという

ことです。



 今回の学習指導要領の改訂で、小学校のボール運動の領域に「ハンドボールな

どその他のボール運動を加えて指導することができる」と「内容の取り扱い」に

示されたので、今後は、小学校の授業の中でハンドボールが指導されるように強

力に進めるへきです。それと同時に「スポーツ教室、スポーツ少年団活動等、小

学生を対象としたハンドボールの活動を進めることが必要です。



 また、子供たちが将来にわたりハンドボールを続けてゆくためには、ボール運

動やチームプレーの楽しさ、良さを十分にあじわわせることが大切です。このこ

とは実際に子供たちを指導する指導者の熱意と指導テクニックに依るところが大

です。



 前述の調査では、そのスポーツを始めたきっかけについては「親がやっていた、

勧められた」「兄弟がやっていた、勧められた」「自分に向いていると思った」

「新しいスポーツに挑戦するため」なとが、バスケットボール、サッカーのそれ

よりも高い割合を示していました。



 このことは、ハンドボールを続けてゆくための本人の意思と環境がしっかりし

ている事を示しています。



 ライフサイクルに応じてハンドボールに「ふれる! あじわう! つづける!」

機会があれば、ハンドボールの根は張り、技は広がってゆくと信じます。



 いま、ハンドボール界に必要な事は、指導体系の確立と指導者の養成、各地区

での環境整備、機会提供のための組繊活動、連帯感を育てる10万人会の推進、ハ

ンドボールヒーローの創出です。



  *(1) 平成12年「ハンドボールの普及・振興に関する一考察」新潟大学

         教育学部4年、山崎博之氏





    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」8月号より転載