<機関誌2001年2月号巻頭言>


世界とのかけ橋



          (財)日本ハンドボール協会副会長 渡邊 佳英
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 輝かしい21世紀の幕が開けた。毎年のことだが、年頭に当たり身が引き締まる
思いで新年の決意や豊富を考える。今年は新しい世紀を迎えたというだけでな
く、その思いは今までになく強い。それは昨年11月、ポルトガルで開催されたア
ジア・ハンドボール連盟(以下AHF)の総会で第一副会長に選ばれ、国際ハン
ドボール連盟(以下IHF)の理事に推されたからである(その後開催されたI
HFの総会で承認されている)。

 今回の総会で特筆されることは、アジア連盟では老害をまき散らしていたパキ
スタンのアブール・ハッサンが専務理事を引退し、代わりにインドのロシャン・
アナンド氏が就任したことと、国際連盟の総会では、長年会長を務めたエルヴィ
ン・ランス氏に代わりエジプトのハッサン・ムスタファ氏が就任したことであろ
う。

 IHFはこれまで欧州主導で運営されてきたが、それに対するアフリカ、アジ
ア(特にアラブ諸国)、中南米諸国の反発が強く、今回のような数の力による会
長交代劇が行われたわけである。これは商業主義と政治の戦いであると思う。商
業的に考えれば、スポンサーが獲得できる、欧州中心の運営になり、新興勢力と
の摩擦が予想される。私の仕事はアジア代表理事としてこのようなギクシャクと
した関係にあるアジア(特に中近東)・アフリカ・中南米とのかけ橋になること
だと思っている。

 幸い亡父渡邊和美が長年IHFの理事を務めていたこともあり、ハンドボール
ファミリーとして知人も多い。これらの人脈を生かしてIHFを円滑に運営でき
るよう協力していきたい。

 AHFでは、今回の総会で世界選手権アジア地区予選の東西統合が可決され
た。このような形で東・西アジアの融合に努めたい。

 IHFの総会の際には、東アジア(日本・中国・韓国)クラブリーグを2001年
から3カ国持ち回りで開催することで合意した。また日韓小学生の交流について
韓国から打診があり、前向きに検討することとなった。

 AHF第一副会長、IHF理事と任期は4年。国際会議や国際試合に出席する
機会が多いが、日本チームが活躍してくれないことには肩身が狭い。任期中に日
本のハンドボール界が世界に羽ばたけるように微力を尽くしたいと思っている。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2月号より転載