<機関誌2000年9月号巻頭言>


メジャーなスポーツを目指して



          アテネ強化特別委員会会長  岩井 正樹
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 20世紀最後のオリンピックイヤーとなり、シドニー大会の話題で日本も大変
盛り上がっていますが、残念ながら私どものハンドボールは、この話題に加わ
ることができませんでした。世の中にはたくさんのスポーツ競技が存在します
が、メジャーな人気をもつスポーツは野球、サッカーなど一部に偏っており、
またメジャーな人気はないが、世界の中で、日本が強く、かつ上位ランクにあ
るために世の中に広く認知されているスポーツもあります。その結果、これら
のスポーツがシドニーオリンピックへの出場を果たし人気を集めていますが、
ハンドボールはこのどれからも外れていて、世の中にあまり知られていないの
が実状であると思います。したがって、当然のことながら、ハンドボールを知
っていただくためには、底辺の拡大、環境づくりを行いながら、頂点のナショ
ナルチームを徹底して強化し、世界ランクの高い位置にあげる両面の展開が必
要であると思います。そして一連の活動を世の中のみなさんに広く情報提供し
ていくことが大切なことと考えております。

 シドニー・オリンピックへの出場が果たせなかった結果、新しくアテネオリ
ンピック強化特別委員会が設置されましたが、オリンピック予選を見る限り、
世界との力の差は歴然であり、現時点ではアジアにトップの座を獲得すること
さえも難しい位置にあると思います。したがって、ハンドボールに係わる人々
が、この事実を認め、認識を変えて、シドニーオリンピック予選の敗退を教訓
として体制を整備し、選手層の拡大、レベルアップを行って世界へ飛び出せる
ようなインターナショナルなスポーツにするべく、ハンドボール関係者が一丸
となって強化に取り組む必要があると思います。アテネオリンピック強化特別
委員会も、4年後のアテネ出場を必達としかつ上位入賞を目指して短期で全力
を挙げて、これらの活動の支援体制を作り推進していくつもりであります。

 幸いハンドボール協会より「NTSの構想」「がんばれ10万人会」など基礎
づくりに着手されており、アテネ強化特別委員会もこれらの施策を中心に底辺
づくり、環境づくりを強力に推進していくつもりです。その中でもハンドボー
ルをプレーする選手一人一人が、高校、大学、社会人の夫々の世代で目標が持
てる環境づくり、また現役を退いた選手でも、自分の人生としてハンドボール
に係わることが大きな目標であり、終わってみて本当にハンドボールをやって
いて良かったと言えるシステムを作り上げてみたいと考えております。

 またナショナルチームの強化は、アテネオリンピック出場を必達として、本
大会でも上位入賞を目標に、すべての角度で情報分析を行い有効な強化手段を
とって1年毎に、1イベント毎に、また1試合毎にレベルアップをはかってい
けるように強化手段のチェックを行って、新しいアイデアを付け加えて着実に
ステップアップをはかっていきたいと考えております。その視点は、

 1.ナショナルチームを、ハンドボールに係わる人全員でサポートする体制
   ・・・私たちのナショナルチーム
 2.インターナショナルな活動の場づくりと数多くの選手の体験
 3.できる限り多くの人がナショナルチームに参加できるシステム

の3つを中心に進めて参ります。

 どうか皆さんの絶大なるご理解とご支援をよろしくお願いします。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」9月号より転載