平成23年度 第63回全日本総合ハンドボール選手権大会<男子の部>

戦 評     

1日目(12月21日)  2日目(12月22日)  3日目(12月23日)  4日目(12月24日)  最終日(12月25日)  勝ち上がり表


最終日:12月25日(日)

決勝戦

トヨタ車体 32 (13-15, 19-14) 29 大同特殊鋼    トヨタ車体は初優勝   スコアシート

 男子決勝は自己の持つ最多優勝回数を更新して15度目の優勝を狙う大同特殊鋼と昨年に続いて2度目の決勝進出を果たし、今回こそ初優勝を目指すトヨタ車体の対戦となった。日本リーグプレーオフの進出を決めている両チームであるが、今期の日本リーグでの戦績は大同の11分である。池渕・檜崎の両国際審判の笛により、車体のスローオフでファイナルは開始された。車体が富田のポストシュートで先制すると、大同は野村のロング・ミドル、千々波のポストで2分過ぎまでに3連取し、大同3-1とリードする。流れが車体に傾いたのは10分過ぎ、門山のカットイン、鶴谷の速攻、木切倉のミドルなどで4連取して流れが車体に傾き、14分には88の同点とする。その後一進一退が続き、大同1点リードで迎えた28分過ぎに大同はチームタイムアウトを請求。直後山城→棚原のスカイプレーが鮮やかに決まり、1513としてそのまま前半終了(大同15-13)。
 後半は序盤10分まで1点を取り合い、また両チームのGK(車体:甲斐、大同:東)がノーマークシュート阻止を連発するタイトなゲームとなった。中盤以降、車体はボールがテンポよく回り始め、選手も縦に進み、次第にペースを握るようになって15分鶴谷のサイドシュートで2121の同点に追いつく。その後車体は香川のロングとミドル、高智のカットインとロングで引離しにかかるが、大同は千々波の速攻、地引のカットインで応戦する。25分過ぎに車体は門山のロングと速攻、鶴谷の速攻で3連続得点し、29254点をリードして勝負の大勢を決めた。そのままトヨタ車体がリードを守り、悲願の初優勝を果たした。決勝戦でトヨタ車体は最後までスピードあふれるハンドボールを継続し、チャンピオンに相応しい姿を披露してくれた。

4日目:12月24日(土)

準決勝

トヨタ車体 39 (19-17, 20-18) 35 大崎電気     スコアシート

 男子・準決勝 第1試合は日本リーグ暫定1位の大崎電気と、暫定3位のトヨタ車体の日本リーグ勢の対戦。昨年度の決勝カードが今年度の準決勝で対戦することになった。大崎電気豊田のステップシュートで試合は動き出す。トヨタ車体は司令塔センター木切倉のカットインで応戦し、鶴谷のサイドシュートで逆転。その後、両チームのDFの激しい当たりに両チームとも連続得点をあげられないまま試合は展開していく。11分の門山の退場をしのいだトヨタ車体は香川のミドルシュートなどで三連取9−5とリードを広げる。大崎電気は東長濱のステップシュートで反撃開始、夏山の気迫あふれるDFからのカットや宮崎のロングシュートで得点を重ね22分から怒涛の6連取で16−13と逆転に成功する。対するトヨタ車体は26分にエース門山のこの試合初得点をきっかけに4連取で再逆転。19−17のトヨタ車体2点リードで前半を終了する。
 後半永島のポストシュートで1点差に詰め寄る大崎電気だが、トヨタ車体は粘り強くパスをつなぎ、大崎電気の高いDFの間を割ってシュートまで持ち込む。大崎電気は7分過ぎの夏山の退場もしのぎ豊田のサイドシュート小沢のサイドシュートで追撃する。トヨタ車体は10分過ぎに富田、13分に藤田が退場しピンチを迎えるが、GK坪根の好セーブで苦しい場面を乗り切り一度も追いつかれることなく試合は後半戦へ。15分過ぎからは両チーム一点ずつ取り合う展開が続くが23分にトヨタ車体藤本のサイドシュート、速攻での三得点で試合の流れをつかむ。大崎電気も森のポストを中心とした攻撃を仕掛けるが、終盤に連続得点できず、39−35でトヨタ車体が昨年の決勝戦での雪辱を晴らし勝利した。

大同特殊鋼 35 (19-15, 16-17) 32 日本体育大学     スコアシート

 男子準決勝の2試合目は本大会最多の14回優勝を誇る大同特殊鋼と準々決勝で日本リーグ勢4強の一角である湧永製薬を破った日体大の対戦である。ゲームは日体大元木の強烈なブラインドシュートでの先制、直後大同はクイックスタートから武田がミドルを返す幕開けとなった。大同の堅い5:1DFに対して日体大は元木を軸に自らのシュート、ポスト川口へのパスなどで得点。一方大同は速攻とクイックスタートを確実に決めて中盤までは互角の展開。17分過ぎ大同は山城、末松らがよく走りサイドシュートを決めて4点差をつける。その後日体大は信太、川口が渾身のシュートを決め、4点差のまま前半終了(大同19-15)。
 後半日体大は8分過ぎに藤江、土井、信太らがスピードを活かして4連取し、一気に同点に追いつく。しかし大同は慌てることなく、14分過ぎに野村、武田のミドル、地引の速攻で再びに4点差とする。残り3分日体大は起死回生を狙い、オールコート・マンツーマンに出るが及ばず、3532で大同が勝利した。素晴らしい試合であり、大同は最後までDFが安定し、攻撃も速く、日本リーグの意地を見せた。最後に日体大の大健闘に最高の賛辞を送りたい。


3日目:12月23日(金)

準々決勝

大崎電気 49 (23-13, 26-12) 25 北陸電力     スコアシート

昨年の大会王者で日本リーグ暫定首位の大崎電気がベスト4シードで準々決勝第1試合に登場。2回戦で関西大を延長戦の末、破った北陸電力との対戦である。大崎は石川、豊田の速攻で先行し、北陸は桜井、赤塚のミドルシュートで対抗するが、大崎の速い攻めを防御することが出来ず、25分過ぎに18-10のスコアでチームタイムアウトを請求。その後の形勢は変わらず前半終了(大崎23-13)。
 後半も完全な大崎ペース。宮崎のスカイプレー、小沢のサイド(ダブルスカイも)、森のポストなど観衆にその技術の高さとスピード感を見せてくれた。北陸は左腕杉山のサイドシュートや高橋のミドルシュートなどで気を吐くが、10分以降連続得点が出来ず、大差のゲームとなった。大崎電気が順当に勝ち上がり、前年優勝チームの貫録を見せたゲームであった。

トヨタ車体 37 (18-15, 19-15) 30 トヨタ紡織九州レッドトルネード     スコアシート 

 両チームの激しいDFが前半から見られる展開の中、トヨタ車体がエース門山のカットイン・ロングシュート。木切倉の確実な7mスローで点差を広げた。トヨタ紡織は3−2−1DFを機能させ、GK松野の好セーブ、ルーズボールへの執着心などで追い上げ、前半を18−15のトヨタ車体リードで折り返す。
 後半、トヨタ車体は、GK木下の連続好セーブと、速攻からの力強いシュートで得点を重ねる。トヨタ紡織は退場者を出しながらもキャプテン村上のミドルシュートで厳しい場面を乗り切る。その後トヨタ車体退場の2分間で佐久間の連続速攻で点差を縮めるが、トヨタ車体が藤本の三連取で残り9分、31−24とリードを広げたところでトヨタ紡織がタイムアウト。トヨタ紡織はセットプレーで加点後、DFを2−4にシステムチェンジし速攻の場面を作り出すがトヨタ車体のDFに阻まれ点差が縮まらない。トヨタ車体は後半、若手の石戸のカットインや笠原のポストシュートなどで得点を上げる理想の試合展開。37−30でトヨタ車体が勝利した。

大同特殊鋼 31 (18- 9, 13-16) 25 Honda     スコアシート

 日本リーグ暫定2位の大同特殊鋼と2回戦で日本リーグの琉球コラソンを退けたHondaの対戦。開始早々大同が野村のジャンプシュートで先制、すぐにHondaは竹田のランニングシュートで応戦。Hondaは大同の身長を利したDFに手を焼き、チャンスが作れない。一方大同は速攻で得点を重ね、10分過ぎに7-1としたところでHondaがチームタイムアウトを請求。その後Hondaは攻守に足が動き始めるが、序盤の失点が大きく18-9と大同リードで前半終了。
 後半はHondaが盛り返す。野嶋のミドル、瀬元の速攻、GK大畑の美技などで16分過ぎには20222点差まで大同を追い詰める。しかし地力に勝る大同は直後に岸川、千々波のシュートで4連取し、試合を優位に運び、そのまま明日の準決勝に駒を進めた。

日本体育大学 29 (15-15, 14-13) 28 湧永製薬     スコアシート

 男子・準々決勝 第4試合は日本リーグの豊田合成に競り勝った日本体育大学と、日本リーグ・現在4位の湧永製薬との対戦。日体大は2番信太のロングシュートでゲームは動き出し、10番元木の速攻など3連続得点で先行する。一方の湧永は15番今井のポストで反撃に出るが、日体大も3連続得点で突き放しに掛かる。ここから湧永は、9番佐藤のサイドシュートなど4連続得点で、一気に同点に持ち込む。日体大も、10番元木のサイドスピンや巧みなミドルシュートで反撃、湧永も4番坂本、23番東長濱などで対抗、前半は同点で終わる。
 後半立ち上がりから、湧永は一気に仕掛け、14番仁平のミドルなど5連続得点で突き放しにかかる。しかし、日体大も20番平子の速攻から2度の3連続得点で2点差まで迫り、23分には10番元木のミドルで同点、更に25分には逆転となる。湧永は4番坂本の得点で再び同点となったところで、日体大は残り90秒でタイムアウト。
残り10秒、日体大3番川口のポストシュートで勝ち越し、湧永の最後のシュートも、途中出場の日体大1番キーパー嘉陽の好フィールディングに阻まれ終了。4年振りに4強に勝ち上がった。

2日目:12月22日(木)

2回戦

北陸電力 32 (10-18, 17- 9) 30 関西大学     スコアシート
         (3-1延長2-2)

1回戦で長崎社中を逆転で破り、勢いに乗る関西大学と、2回戦から登場する日本リーグ勢で初陣を切る北陸電力との一戦。関西大が左腕三浦のミドルシュートで先制、その後も佐伯のポストプレーや中嶋の速攻などで得点を重ねる。北陸は桜井と赤塚のミドルで追撃するが、関西大のアグレッシブなDFに攻撃の芽を摘み取られ、関西大が北陸電力を圧倒して前半を終える(18-10)。
 
後半は一進一退の攻防が続くが、中盤ごろから連戦の疲れからか関西大の足が止まり、北陸は息を吹き返す。左腕桜井を中心としたセットOFとサイド高橋らの速攻による連続得点とGK有江の連続好セーブで26分過ぎに同点に追いつき、後半終了。延長へ(27-27)。延長戦も北陸は桜井、切越、高田らが確実にシュートを決めて粘る関西大を振り切った。敗れはしたが、善戦した関西大に拍手を送りたい。

トヨタ車体 36 (15- 9, 21- 6) 15 早稲田大学     スコアシート

 日本リーグ暫定3位のトヨタ車体と1回戦でJHAジュニアに快勝した早稲田大学のカード。早稲田は前半玉城、久保のミドルシュート、岩井のポストプレーとGK岩下の再三の好セーブなどで24分まで911と食い下がる。一方の車体は残り5分、サイド渡部の連続得点で突き放し、前半終了(15-9)。
 後半立ち上がり、車体は富田、木切倉のカットイン、門山、高智のミドルなどで7分過ぎまでに6連続得点し、勝負を決定づけ、早稲田を退けた。

Honda 23 (10-13, 13- 8) 21 琉球コラソン     スコアシート

 1回戦で明治大学を退けたHondaと日本リーグ暫定6(12/18現在)の琉球コラソンの対戦。前半はコラソンのペース。運動量に勝るコラソンは村山、榎本を中心に得点する。Hondaは左腕の鶴見が終盤に連続得点して前半を折り返す(10-13)。
 後半はHondaが盛り返す。7分過ぎに2人退場するが、DFが持ちこたえ10分伊藤のミドルで同点とする。その後一進一退の展開となるが、Hondaは野嶋のスタンディング、大井のサイドで23-19として勝負の決着をつけた。コラソンはプレスDFによってボールをターンオーバーしても得点できない、また退場をチャンスに結び付けることが出来ず、2回戦での敗退となった。Hondaは明23日大同特殊鋼と対戦する。

日本体育大学 28 (14-11, 14-13) 24 豊田合成     スコアシート

 男子2回戦の最終試合は日本リーグ暫定7位の豊田合成と1回戦でHC岡山に大勝した日体大の対戦である。合成は開始早々森光、今村の両左腕によるサイドシュートで連取、一方の日体大は川口のカットイン、石橋の速攻で同点として序盤からシーソーゲームの様相を見せる。その後日体大が信太らの速攻で23分過ぎに4点差をつける。合成はチームタイムアウトを取るが、大勢は変わらず前半終了(11-14)。
 後半も合成が野田のシュートで先行。前半と同様な一進一退が続く。20分日体大は退場者を出すが、土井がブラインドシュートで得点し、3点差のままとする。合成は野田のミドルなどで返すも連続得点ができなかった。日体大は27分に元木のスティールから加点し勝利を確実なものにした。日体大は日本リーグの一角を破って準々決勝進出。明23日湧永製薬と対戦する。

1日目:12月21日(水)

1回戦

関西大学 28 (11-16, 17- 9) 25 長崎社中     スコアシート

 大会初戦は、インカレ3位の関西大学と、ジャパンオープン2位の長崎社中の対戦。
長崎社中のスローオフで大会の幕はきられた。長崎社中は開始早々、11番三宅のミドルシュートでゲームは動き出す。互いに得点を重ねるが、点差は大きく開かないまま、前半の中盤へ。キーパー12番古田の好キープもあり、19分過ぎから、長崎社中は一気に6連続得点を上げ、前半を5点差のリードで終わる。
 後半開始に、得点を広げられた関西大学は、
2番田月の連続得点など5連続得点、6番湯川の得点で、後半13分には同点に持ち込む。19分には長崎社中も一時同点に迫るが、長崎社中選手の退場もあり、ここから関西大学はセットプレイなどの2連続得点、3連続得点で点差を広げ逃げり二回戦に駒を進めた。関西大学の溌剌としたプレイに、長崎社中の踏ん張りも今ひとつ及ばなかった。

早稲田大学 35 (17-13, 18-13) 26 JHAジュニアアカデミー選抜    スコアシート

 1回戦の第2試合はインカレ準優勝の早稲田大学と日本協会推薦のJHAジュニアアカデミーの対戦。JHAジュニアが成田のミドルシュートで先制、早稲田は熊谷の得点で応戦。その後一進一退の攻防が続いたが、22分過ぎから早稲田が5連取し、試合の主導権を握って前半終了(17-13)。
 後半JHAジュニアは東江、植垣らのシュートで追撃するもGK岩下を中心とする早稲田の堅いDFを崩せず、連続得点ができない。一方の早稲田は久保、玉城らの鋭い動きからのシュートで得点を重ねていく。早稲田が攻守に一日の長を見せてJHAジュニア選抜に勝利した。

Honda 35 (14-10, 21-14) 24 明治大学     スコアシート

 大会第三戦は、インカレ3位の明治大学と、ジャパンオープン2連覇のHondaの対戦。体格優位の6−0デフェンスHondaに対して、スピードの明治大学。立ち上がり、Honda6番竹田の先制から3連続得点でスタート、明治も3番横田、6番池辺、4番高田の得点で応酬。Hondaは、7番鶴見の巧みなサイド攻撃で引き離しにかかるが、明治も食らいつく。Hondaはタイムアウト直後の3連続得点で更に引き離し、前半を4点差で終える。
 後半直後も、Honda3連続得点で7点差まで広がる。明治はHonda選手の退場を機に、6番池辺の連続得点で点差を詰めるも、その後も3連続得点を許し、明治のペースに持ち込めない状況が続く。明治は、7番大倉のバックシュートで会場を沸かすも、点差は縮まらなず、じりじりと離される。明治は速攻などスピードを生かしたプレイも随所に見られたが、後半も7点差を付けられる。終わってみれば、35−24で終了、Hondaの自力が勝ったゲームで、Hondaは二回戦位勝ち進んだ。

日本体育大学 50 (25- 9, 25-10) 19 HC岡山     スコアシート

 1回戦の最終試合は学生チャンピオンの日体大とジャパンオープン3位のHC岡山の対戦。試合開始早々から日体大の速攻が冴え、10分までに10-2と大きくリードする。反撃を試みたいHC岡山は内藤、須藤らのシュートで得点するが、日体大の一方的なペースで前半終了(25-9)。
 
後半HC岡山は落ち着きを見せ、3連続得点やGK安井の美技などで序盤は互角の展開となる。中盤以降は日体大のエンジンがかかり、好守からの速攻とクイックスタートで大量得点し、残り10秒には50点目を決めた。勝者の日体大は22日豊田合成と対戦する。

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