第11回IHF女子ユース(U-18)ハンドボール世界選手権で、9位とベスト8入りに迫った女子ユース日本代表が、8月10日、開催地のルーマニアから帰国しました。
7月、第25回女子ジュニア選手権(中国)で歴代最高の7位という成績を手にした先輩たちを超えることこそできませんでしたが、機動力、スピードを存分に生かした戦いで、先輩たちと変わらぬインパクトを世界に与えた選手たち。
ここでは、ジュニアチームに続き、これからのハンドボール界を明るく照らしてくれた選手たちの戦いを振り返ります。
大事な初戦で最高のスタート
昨年7月、中国で開催された第11回女子ユースハンドボールアジア選手権決勝で、中国に33-35と惜敗。
その1年後、女子日本代表アンダー18(ユース)は、アジア選手権代表10名と新たに加わった8名で、これまで以上に足を動かし、スピードを武器に戦うことができるチームを編成し、第11回女子ユース世界選手権の開催地・ルーマニアへと向かいました。
未知数な部分も多い中で迎えた、7月29日、予選ラウンド・初戦のアンゴラ戦。
初戦の緊張を感じさせることなく、スタートから足を使ったディフェンスでアンゴラにプレッシャーをかけ、4-0と好スタート。
さらに勢いづいて前半を19-9と10点リードで折り返すと、後半もさらにリードを広げて、39-19と20点差で快勝しました。
改めて、攻守ともに足をフルに使い、スピードを生かすという、日本の生きる道を再確認した選手たち。
この日本の戦い方は、相手の発展途上の年代の選手たちにとっては、攻略の難易度が高いものでした。
アンゴラ戦に快勝後の選手たち念入りに警戒される存在に
とはいえ、各チームとも手をこまねいているわけではありません。
日本が事前情報や大会に入ってからの戦いぶりから相手を分析して戦うように、各チームも対日本対策を練ってきます。
翌7月30日の予選ラウンド・第2戦の相手、ブラジルはコートプレーヤー6人では日本のディフェンスを攻めきれないと判断し、早い時間帯から7人攻撃を仕掛けてきました。
日本はこの7人攻撃に手を焼き、アンゴラ戦のように主導権を握ることはできませんでした。
苦しみながらも持ち味の機動力を生かしたディフェンスに徹して粘り抜き、得点チャンスを着実にものにしてこの試合をしのぎます。
2連勝で、第3戦を待たずして予選ラウンドを突破し、メインラウンド進出を決めましたが、各チームにとって、ブラジルの7人攻撃が効果的だったことは、大きなヒントとなりました。
1位通過を狙って挑んだ予選ラウンド・第3戦のスロバキア戦。
突き放されそうな局面もよく粘り、勝機も感じさせる戦いでしたが、相手は昨年の女子U-17ヨーロッパ選手権で優勝した実力派です。
ブラジルを上回る精度の7人攻撃や体格差を生かしたプレーで押し込まれ、30-32で惜敗。
予選ラウンド・グループGの2位で進んだメインラウンド・第1戦も、スイスの7人攻撃と体格差を生かしたプレーを止めきれず、31-41と大きな差をつけられてしまいました。
予選ラウンド・スロバキア戦の結果が持ち上がりとなるメインラウンドは、第2戦を戦う前に準々決勝進出の可能性がなくなりました。
相手の力強いプレーを止めきれず戦いの中で対応策も見出す
ウイークポイントを着実についてくるスロバキア、スイスに連敗。
本場ヨーロッパ勢の壁の高さ、厚さを見せつけられる大会となるのか。
そんな不安もよぎりましたが、日本も分析を怠らず、短い時間の中で対策を講じていました。
メインラウンド・第2戦、スロベニアに34ー30で競り勝ち、メインラウンド・グループⅣの3位となり、9-12位決定戦へ。
9-12位決定戦では、平均身長で10cm近く差のあるオランダを、9位決定戦でもオランダに近い高さを誇るフランスの力強い攻撃を食い止め、9位を勝ち取りました。
前回大会の8位を上回ることこそできませんでしたが、今大会全7試合で5勝2敗。対ヨーロッパ勢は5戦3勝2敗と、確かな爪あとを残しました。
相手の動きを封じ、ペースを握らせないアグレッシブなディフェンスだけではありません。
試合のテンポや相手の戦術もあってのことですが、スピードを武器に7試合すべてで30点以上の得点をマーク。
大型選手を相手に、コンスタントに得点を重ねたオフェンスも見逃せません。
その原動力となった
三浦陽奈選手が通算63得点で得点ランキング3位、
濵口りお選手が45得点で同9位と、各チームの得点源に肩を並べた選手の活躍も特筆されます。
三浦選手の1試合平均9.00得点は、出場選手中、トップの記録です。
ディフェンスでは、中川りのあ選手が通算17スティールを記録し、今大会のスティールランキングで世界2位に入りました。濵口りお選手も15スティールで同3位に入り、日本の持ち味であるアグレッシブなディフェンスを体現しました。
個人としてもインパクトを残した左:三浦陽奈選手、右:濵口りお選手未来への確かな手ごたえ
選手たちの目標、大きな刺激となった第25回女子ジュニア世界選手権の歴代最高順位7位に続き、日本のハンドボールが世界に通用し、各チームから恐れ、警戒されるものだったことを実証した今大会。
効果的な7人攻撃、体格差を生かしたプレーで押された試合の悔しさや、アフリカ勢初の4強入り(4位)を果たしたエジプトや7位入賞の中国からの刺激も糧に、女子日本代表アンダー20(ジュニア) へ、そして、おりひめジャパンへと羽ばたいていく選手たちのこれからに、いっそうご注目、ご声援ください。
一丸となって戦い続けた選手たち監督・選手からのコメント
張 素姫監督コメント
大会前、ルーマニアで開催された招待カップ戦でチームの方向を再確認したり、修正ができて、本番での良い試合につながりました。
まずは一桁の9位で終わることができて良かったです。
日本らしい素早く足を生かしたディフェンスは、世界で一番だと思います。
日本とは対戦したくないというチームも多く、少しずつ日本が強くなっている気がします。
前回大会、そして今回を戦った世代の選手たちは、サイズに関係なく通用することを確信しているでしょう。
日本のハンドボールの未来はとても明るいと思います。
中筋 海南キャプテンコメント
チームとしての目標は、前回の8位を超えることでした。
悔しい結果ですが、全員が最後まで諦めずに戦い抜くことができたと思います。
日本の特長であるスピードを生かしたプレーが世界でも通用することを実感するとともに、フィジカルの強度不足も思い知らされました。
今回の経験を得て、より強くなり、日本のハンドボールをさらに世界に広められるように頑張ります。
たくさんの応援、ありがとうございました。
三浦 陽奈選手コメント
9位と悔しい結果になりましたが、チーム一丸となって戦うことができたと思います。
自分の強みを生かしてプレーでき、Player of the matchに選ばれたことは、うれしく、自信になりました。
次のカテゴリーでも世界の舞台に立ち、9位の壁を超えたいです。
たくさんの応援、本当にありがとうございました。
※各試合の詳細、アーカイブは
こちらから
最終順位
| 優勝:スペイン | 2位:モンテネグロ | 3位:デンマーク | 4位:エジプト | 5位:スイス | 6位:スロバキア |
| 7位:中国 | 8位:ハンガリー | 9位:日本 | 10位:フランス | 11位:オランダ | 12位:ルーマニア |
| 13位:ドイツ | 14位:韓国 | 15位:スウェーデン | 16位:スロベニア | 17位:ポルトガル | 18位:クロアチア |
| 19位:ブラジル | 20位:チュニジア | 21位:チェコ | 22位:セルビア | 23位:アルゼンチン | 24位:カザフスタン |
| 25位:ギニア | 26位:カナダ | 27位:アンゴラ | 28位:メキシコ | 29位:ウルグアイ | 30位:ウズベキスタン |
| 31位:アルジェリア | 32位:フィジー | | | | |
今大会の代表選手のうち、第77回全日本高等学校ハンドボール選手権大会(インターハイ)に出場する選手は、激戦の疲れを癒やす間もなく所属チームに合流しています。
彼女たちがチームをけん引して躍動している姿は、インハイ.tv(SPORTS BULL)でライブ配信中です。
大舞台を経験した選手たちならではのプレーを、ぜひご覧ください。