<機関誌2005年11月号巻頭言>


普及の胎動



               (財)日本ハンドボール協会常務理事  角紘昭(普及担当) 

kantogen-0511


 日本協会普及部では、少年チームの創設や活性化を進めるために昨年、今年と全国各ブ
ロックで普及会議を開いています。その会議には各都道府県に普及(小学生)担当者1名の
参加を依頼し、さらに、チームの指導者や関心のある方の参加も呼びかけて行っています。

 各県の実態の報告や情報交換、その他普及に対する意見交換、他地区や外国の普及状態
の紹介等々を通し、それぞれの地区に合った普及のための活動を進めていただけるように
なることがこの会議の最大のねらいです。これまでの会議での提案・実態報告をまとめて
みました。

地区によって活動の差が激しい

 それぞれの地域に住んでいるハンドボール経験者(指導者予備軍)の多少によって活動に
大きな差が出てくる傾向があります。県協会をはじめ市町村の学校や協会、その他のスポ
ーツ組織の連携により、眠っている経験者が指導者となり活き活きと活動し始めることが
多くあります。

選手経験者を指導者として呼び戻そう

 中・高校での経験者が地元に根付いて活躍しているのがほとんどです。これらの経験者
は選手時代にハンドボールの面白さや楽しさを十分味わった人たちです。また、かつて少
年チームでハンドボールの魅力を経験した人たちも、成長しクラブに戻って指導者として
活動しているケースも多くあります。昨今、企業チームが意欲的に地元へ出かけて少年チ
ーム活性化に努力しているのが目立ってきました。企業の組織力は地域の活性化に大きな
力となっていることが実証されています。

さらに行政施策の活用を

 現在、どこの市町村もスポーツを通して「青少年の健全育成」「成人・高齢者の健康な
ライフプラン推進」を掲げて、それなりの予算措置をしています。県及び地域のハンドボ
ール協会が先頭となって「少年チーム活性化・ハンドボールを中心としたスポーツライフ」
を活動目標として掲げれば行政の施策とタイアップして効果的な活動が可能です。

スポーツライフの構築を

 特に少年チームを指導する際には、鷹の目(そのプレーヤーの生涯を見通した視点)、蟻
の目(年間の目標を達成する視点)の二面性が必要です。指導者は身近な研修の機会を利用
して、この二つの目を十分に身につけることが必要です。

晴れの舞台の経験で成長する

 晴れの舞台(大会・交流会)に立つことで子どもたちは緊張し、成長します。チーム全員
がその場を経験できるように、関係者はできる限り多くの大会・交流会を準備することが
必要です。

 このようにまとめてみれば当たり前のことのようですが、協会の立場から、指導者の立
場から、今一度、周りを見直しますと、普及としてするべき活動は多くあるものです。そ
れぞれの地域に合った普及のための施策を考えていただき「少年チーム3000」の目標実現
にご協力いただきたいと思います。この1、2年の間に全国各地で開催される大会や交流
会は飛躍的に増えています。それと同時に、それらの大会・交流会に参加するチームも
500チームを超えるまでになっています。 これらのことから普及の流れが実感できるよう
になって来ました。さらに、日本協会では普及部小学生専門委員会を中心に、大会運営の
基本的なマニュアル作成に取り掛かっています。これにつきましても今後ご意見を賜れば
幸いです。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2005年11月号より転載