<機関誌2003年4月号巻頭言>


会長就任にあたって



          (財)日本ハンドボール協会会長  渡邊 佳英
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 私は三月下旬の臨時全国理事会で、はからずも財団法人日本ハンドボール協会
の会長に選任されました。

 現在、日本ハンドボール界を取り巻く環境は、大変厳しいものがあります。少
子化や経済不況、個人の価値観の変化などにより、青少年のスポーツ人口の減少
やスポーツ離れが進んでいます。この逆風に手をこまねいていてはいけません。
協会関係者は、それぞれの分野で行動を起こしてください。関係者全員が粘り強
く、力を合わせて逆風を順風に変える工夫と努力をしようではありませんか。

 昔からスポーツ界を発展させるためには、頂上を高く、裾野を広くすることと
いわれています。頂上を高くとは、皆さん十分お分かりのように、オリンピック
など国際競技会でナショナルチームが活躍し、日本の人々に感動と夢を与えるこ
とであり、国際スポーツ界を見据えての競技力の向上を意味します。

 ここ数年、日本のナショナルチームの成績は、芳しいものではありません。97
年の男子世界選手権大会(熊本)で王者フランスをギリギリまで追いつめた善戦
はあったものの、オリンピックは88年のソウル大会のあとは参加していません。
女子は76年のモントリオール大会以降、途切れています。ことしは5ケ月後の9
月23日から神戸市でアテネ・オリンピックのアジア地区予選があります。情勢は
厳しいですが、男女そろって予選を突破、本大会に駒を進めて順風を呼び込むき
っかけにしてほしいのです。

 地道な努力をしてハンドボールの普及を図れば、裾野は広がり、頂上が高くな
ります。また頂上が高くなれば、裾野も広がります。これはどっちが先というも
のではなく、車の両輪の関係にあると思います。

 日本ハンドボール協会では、ハンドボール界の長期的な行動指針を「プロジェ
クト21」としてまとめました。この改革書の目標は、(1) 2010年にハンドボール
人口を日本で全スポーツ競技の3位に、そして小学校チームを育成する、(2) オ
リンピックに常時出場し、メダルを獲得できる実力をつける、(3) 協会が人・物
・金で自立できる体制にする、というものです。この三つの目標が実現できるシ
ステムを05年に完成させる予定です。このような近・中・長期計画実現のため私
も努力し、“協会百年の計”を確立したいと思っています。

 これからスポーツの国際化の流れは、ますます進みます。私は国際ハンドボー
ル連盟のアジア選出理事、アジアハンドボール連盟の第一副会長も兼務しており
ますので、両連盟の交流や日本チームの海外での活躍の場をつくりたいと思って
います。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」4月号より転載