<機関誌2001年5月号巻頭言>


ハンドボールをより素晴らしいものに!





        (財)日本ハンドボール協会専務理事  大西 武三

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 21世紀最初の年も始まりましたが、現代社会はクローバル化、情報化、経済不

況、少子化等によりその変化は目覚ましいものがあります。スポーツの世界にお

いても社会の変動の波にもまれて変革を余儀なくさせられています。このような

大切な時期に専務理事の大役を仰せつかり、その責任の重さを痛切に感じており

ますが関係者の理解とお力添えを得て微力ながら最大限の努力で乗り切りたく思

っておりますのでよろしくお願い申し上げます。



 日本協会では、社会やスポーツ界の新しい波のなかで、従来の施策に加えてそ

れを乗り越えようとする新たな施策が実施されています。「がんばれハンドボー

ル10万人会」、「ナショナルトレーニングシステム」、「アテネ特別強化委員会」、

「普及特別委員会」です。



 「がんばれ10万人会」は、現代のスポーツは、競技をする人たけでなく見る人、

支援する人等全てがハンドボールに関わる人たちであり、いわばハンドボールフ

ァミリーです。従って登録者は競技者だけでなくサポーター、役員、指導者、審

判等すべてが登録者になります。ハンドボールが社会の中で認められる団体とな

るためには10万人が一つの目安になるとの事から始まったものです。ハンドボー

ルの競技人口が減少する中で、多くの人たちが会費を出し合って経済基盤の支援

をするとともにハンドボールの仲間を増やし、第一ステップである10万に早く到

達したいものだと思います。そのためには、郡道府県協会・連盟が自分たちの10

万人会であるという意識に立てるものにしていかなければならないと考えていま

す。



 「ナショナルトレーンクシステム」即ち「NTS」は国際競技力を育てていく

ためには、ジュニア期から青年にいたるまで一貫したトレーニングを課していく

必要性から生まれ出たものです。まだ始まったばかりですが、これを契機として、

選手の育成だけでなく指導者の資質の向上や普及面での役割も期待でき、皆さん

のご理解とご協力を得て、実のあるNTSにしていくことが求められています。



 「アテネ特別強化委員会」においては、強化部との連携により、アテネには必

ず出場するという強い目標をもった特別委員会です。「オリンピック好きの日本

人」の言葉に示されるように、ナショナルチームの国際舞台での活躍は社会の関

心と人々の感動を呼び、様々な方面へ大きな影響を与えます。男子はソウル以来

3大会に、女子はモントリオール以来5大会に出場を逸しています。アテネには

強い意志で「出場必達」を実現しなければならないと考えています。



 「普及特別委員会」は、ハンドボールを普及させていくためのシステムを策定

していく委員会です。ともすれば、競技力向上に重点がおかれるのが競技団体で

す。今後普及にも力を注ぎバランスのとれたハンドボール界にしていく必要があ

ります。ハンドボールが国技であるデンマークから招いたIHF講師のアラン・

ルンド氏が言っていました。「デンマークでハンドボールは文化である。日常の

会話の中で話題になる。」ハンドボールが学校別でなく、生涯スポーツとして地

域に根をはやし、小学生からマスターズまで市町村のクラブでハンドボールに汗

を流す日が到来する日をぜひ実現しなければならないと考えております。



 私は、長い間日本協会の常務理事として指導者の育成や普及に携わってました

が、今回の専務理事就任は、都道府県協会・連盟と密接な連携をとって、普及を

推し進めるようにとの要望からと受け取っています。ハンドボールをより素晴ら

しいものに育て、そしてそれをより広く普及できるよう皆さんとともに頑張りた

いと思います。



 最後になりますが、皆様方の御活躍をお祈りするとともに、国内外で今年も多

くの大会や事業が開催されます。皆様方のご支援・ご協力をお願い申し上げます。





    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」5月号より転載