<機関誌2000年12月号巻頭言>


21世紀に向かった国際情勢と取り組み



           日本ハンドボール協会常務理事 喜井 美雄
kantogen-0012


 世紀末を数日に残し、イスラ工ルの紛争・航空機墜落事故・オーストリアの
ケーブルカー火災事故等、国際社会は相変れらす激しい変動をしています。そ
の影響を受け世界経済は、若干の回復は感じられるものの国内を含め大変厳し
い時代を続けております。

 一方、スポーツ界は今世紀最後のシドニーオリンピックが、盛大のうちに幕
を閉じ、次の2002年日韓サッカーWC・2004年アテネオリンピックに向けすでに
動き出しております。世界のハンドボール界では、先のシドニーオリンピック
において男女とも相変わらず欧州の常勝国が上位を占めました。アジアでは、
男子の韓国が今世紀最後のドリームチームと期待されましたが予選ラウンド敗
退という残念な結果に終わりました。女子の韓国も予選ラウンドでは強さを発
揮し、メダルが期待されましたが4位に終わりました。この大会を観るかぎり
アジアと世界との差は歴然であり、さらにこの韓国に勝てない日本との差を考
えると早急の対応が必要であることと、「オリンピックは見るものではなく参
加するもの」と痛感した大会でもありました。

 したがって、21世紀に向け日本ハンドボール界が発展するために、少年少女
に夢を持たせ、ハンドボールを愛する人達や支援する人達に報いるためにも、
目標をしっかり定めドラスチックな取り組みを図らなければなりません。その
ためにほ、日本のハンドボールがメジャーになることが必要であり、既に21世
紀に向け、アテネに向け日本ハンドボール協会全体が活動を始めています。

 日本代表の男女が、アジアで No.1になり世界の舞台(世界選手権・オリン
ピック)にてメダルをとる事です。無論、ジュニア・シニア現場の計画的で効
率的な強化の実行は、当然の事です。

 今後の取り組みとして

 (1)世界大会(世界選手権・オリンピック)出場に向けた環境作り
 (2)アジアハンドボール連盟(AHF)の更なる正常化
 (3)国際交流の体制定着化と発展

この3本の施策で取り組んでいきます。

 第一に、世界大会出場に向けた環境作りについては、国際ハンドボール連盟
(IHF)・アジアハンドボール連盟(AHF)の重要ポストに役員を送り込
むことです。IHF/AHFの役員の任期は、オリンピックの期間であり、各
総会の選挙で決定されるためアジアの東地区(日本・中国・韓国)が協力し優
位にすることです。

 第二に、AHFの更なる正常化については、AHFの定義・規定・運用が機
能していなかったので日本が主導で進めてきた結果、やっと規定が整備されま
した。今後も、運用と管理ができるように確認していきます。

 第三に、国際交流については、ドイツ・スペイン・デンマークを拠点国とし
体制が整ってきたため定着と更なる展開に向け活動を進めます。

 最後に、21世紀に向けわれわれ一人一人が意識を変えその結果日本ハンドボ
ール界の発展につながると肝に銘じ進めて参ります。格段のご支援ご協力を賜
りますようお願い申し上げます。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」12月号より転載