<第49回全日本総合ハンドボール選手権大会(男子の部) 戦評>


<12月7日(第4日最終日・決 勝)>

 

 中村荷役 23 (10- 9, 13-11) 20 湧永製薬

 湧永堀田のサイドからの巧シュート2連発に対し中村は呉と趙のミドルシュートで2−2とお互いに譲らないスタート。中村はトップDFに呉、2段目に西村を配しブラマニスを封じ、エース中山には趙が激しいマークで得点を許さない。湧永も呉,趙,木浪での攻めを防ぎ、ロースコアのシーソーゲームとなる。11分中山の初得点が決まり、4−4と同点。趙のロング2点で優位に立つが、16分中山のロングで1点差に迫ってからの堀田のサイドフリーシュートを中村GK井上が好守し中村が8−6としてややペースを握り、10−9で前半終了。
 後半、中村は攻めても趙の3連続7mを含む5連取で5分13−10とペースを握り、守っても今度は中山に厚くマークをし、湧永のパスコースは分断、カットからも得点を重ね、15分18−14とする。しかし、ここから湧永が猛反撃、小沢の今日5点目の7m、中山の必死のロングでついに24分森山のシュートで19−19とするが、26分20−20、27分趙の今日11点目で21−20で万事休す、中村が逃げ切る。

 


<12月6日(第3日・準決勝)>

 

 中村荷役 24 (10- 5, 14- 6) 11 三陽商会

 前半10分までは両チームとも慎重なスタートで3−3と一進一退であったが、中村はそのからの10分間11番呉を高く上げて1−2−3DFで三陽をノーゴールに抑え、その間快調に得点を重ねて8−3と試合の主導権を握った。三陽は堅い守りを攻めあぐみシュートが打てず、パスの場所を探す展開の中でカットされて失点を重ねた。また、中村はエース趙が2本の7mをはずしロングも1点と不調であったが、セットで全員がよく動いて速いパスワークで三陽DFを翻弄して、サイド,ポストと確実な得点期を作り八尾ら全員がむらなく得点して前半は10−5で終了。
 後半に入っても展開は全く変わらず、逆に中村GK井上の攻守で、三陽の追い上げの場面で大事な速攻とカットインシュートをシャットアウト、また前半不調の趙が次々とシュートを決めて15分過ぎに19−9と体勢は決した。趙は後半だけで7得点であった。三陽商会は全く元気がないままトータル24−11でゲームセット。

 

 湧永製薬 22 (11- 6, 11- 9) 15 大同特殊鋼

 昨年の同一カードは大同の1点差勝ち。雪辱を期す湧永は中央4枚の高いDFとGK坪根のファインプレーで大同冨本,市原,林のシュートをシャットアウト。攻めては堀田のサイドからの巧技(3点)、ブラマニスの気迫あふれるステップシュート2連発。中山にマークが集まるところをポスト杉山にボールを集め(4点)、前半9分4−3から19分には7−3と試合の主導権を握った。大同も柴田の速攻2連取と市原のミドルシュート、GK日原のファインセーブで頑張るも11−6と5点差で前半を終了する。
 後半に入ってもブラマニスのミドル(2点),杉山のポスト(2点),森山の巧技(2点)で10分に16−8と快勝ペース。そこから大同も必死に藤井,林でシュートを決め、追いすがるが再三のフリーシュートを坪根がファインセーブで得点を許さない。また、相変わらずの高いディフェンスでシュートをカット、中山,ブラマニス,杉山,堀田と各自特徴を生かした得点で22分19−13,26分21−13と体勢は決した。
 大同のロング陣、林,冨本,市原を封じた湧永ディフェンス陣の動きのよさと、各選手の巧技が光った一戦であった。トータル22−15。

 


<12月5日(第2日・2回戦)>

 

 中村荷役 17 (10- 7, 7- 6) 13 本田技研

 中村が開始早々ポストプレーで7mスローを得、木浪がこれを確実に決めて先行した。その後両チームとも決め手を欠き、激しいディフェンスで度々エキサイトする場面が続く中、中村が趙の個人技、相手ミスからの速攻などで加点し、20分過ぎまでに8−4とリードを広げた。その後も守り合い、攻めあぐみの展開が続く中、本田も斎藤を中心に反撃し、結局10−7中村リードで前半を終了した。
 後半に入って、本田が速いパス回しで反撃し、6分過ぎまでに1点差まで詰め寄った。その後、中村は次々と退場者を出すなど両チームとも波に乗れず、8分過ぎから8分間無得点の場面が続いた。15分過ぎ、中村・趙のディフェンスをかわしてのクリーンシュートでやや試合が動き出したが、両チームエキサイトしてのややダーティなディフェンスや、単純なパスミス、シュートミスが目立つ、大味な展開となった。本田は26分過ぎにツートップのディフェンスで中村の個人技に対抗したが、時すでに遅く、17−13で中村が逃げ切り、準決勝に駒を進めた。

 

 三陽商会 22 (12- 6, 10-14) 20 大崎電気

 開始7分過ぎまで、両チーム決定的なシュートチャンスを作ることができず無得点で過ぎる。三陽8番岩本のロングシュートの得点を機に両チームの動きが速くなり、シュート数は増えるが、GKの好守もあり大崎はなかなか得点が入らず、20分を過ぎ3点にとどまる。その間、セットからのポストシュート、ミドルシュート、サイドシュートと着実に得点を重ねた三陽が優位に試合を進め、その後も三陽ペースのまま前半を終わる。
 後半にはいり、三陽は大崎のディフェンスを攻めあぐみ、退場も含め得点をあげるチャンスが少なく4得点に終わる。その間、大崎はサイドシュート、ポストシュート、かっとインシュートと得点を着実にあげ、20分過ぎ14対16と2点差にせまる。その後両チーム得点を重ねあい、試合終了間際まで1点差を争う展開になったが、最終的に三陽が22対20で、ねばる大崎を振り切った。

 

 湧永製薬 30 (16-12, 14- 6) 18 日本体育大学

 中山を中心に190cm以上の選手をそろえた湧永の守りを、日体大が佐々木を軸に速い攻めでどうくずせるか注目された。
 出だしから湧永の守りにリズムをつかめない日体大に対して、湧永はセンター森山の連取にはじまり、杉山のポストプレー、中山のロングシュート、ブラマニスのスタンディングシュートと自在の攻めを見せ6点差とした。15分過ぎから日体大も田中の連取からリズムをつかみ、GK宇野の好守もあり、大村のスタンディングシュートなどで5連取と2点差まで詰め寄った。しかし、湧永は中山の強烈なシュートで突き放し、4点差で前半を終了した。
 後半に入ると日体大はGK宇野の好守から、佐々木のロングシュート、田中の速攻と3連取をみせ1点差とした。湧永は山口のサイドシュートで差を広げ、その後日体大も田場のスタンディングシュート、小倉のロングシュートと健闘したが、地力の差はいかんともしがたく、徐々に湧永のペースとなり大差となってしまった。

 

 大同特殊鋼 25 (12- 9, 13- 9) 18 日新製鋼

 日新は開始早々2点連取するが、その後大同の速攻などで4連続得点を許し、大同6対4リードで10分を過ぎる。その後15分間両チームのGKの好守やシュートミスなどが続き、互いに3得点ずつしかあげられず、結局9対12大同リードで前半を終了する。
 後半開始から、大同は4連続得点をし一気にゲームを優勢に進める。日新は11番坂口のロングシュートで大同に追いすがるが、大同も速攻や開いてペナルティで得点を重ねる。日新は残り4分で4点差に追いすがるが、最後は大同のポストシュート、速攻で突き放され、25対18で大同勝利に終わる。

 


<12月4日(第1日・1回戦)>

 

 中村荷役 22 ( 8-10, 14- 6) 16 アラコ九州

 前半10分、中村5−2とリードするも、アラコ九州のGK篠崎の好セーブと固い守りから、元島と田中の速攻で20分8−6と逆転に成功。前半は10−8アラコのリードで折り返す。中村荷役のシュートミスも目立ったが、エース趙がケガで出場せず、呉のプレーも孤立していた。
 後半になると、前回優勝の中村荷役が闘志満々のプレーを展開。GK井上の好守もありなかなか得点を許さず、7分呉のロングで11−11と同点に追いつき、泉の逆転シュートからはペースをつかみ、トータル22−16でゲームセット。

 

 本田技研 36 (14-11, 22- 5) 16 埼玉フェニックス

 前半立ち上げ本田は速いパスワークから得点。一方の埼玉はベテラン山田の速攻などで得点をし、6分4−3とリードを奪う。その後も一進一退の試合展開で進み、前半を14−11本田の3点リードで終了。
 後半に入ると、本田は加藤のゲームメイクからの得点、GK四方の好守からの速攻などで着々と差を広げる。埼玉も綿引、山口らで必死で反撃を試みるが、ディフェンスの良くなった本田の壁を崩すまでには至らず、地力に勝る本田が勝利を収めた。
 敗れたがベテランらしい埼玉のテクニックが光った。

 

 三陽商会 30 (12-10, 12-14) 27 香川クラブ
        (2-3 延長 4-0)

 1回戦、前年と同一カードで、史上最強のクラブチームといわれている香川クラブに苦杯を喫している三陽商会は、前年ケガで出場できなかったエース岩本、新人中川の活躍と、五島のキレのいいカットインで常にペースを握って試合を進めるが、香川クラブも良いコンビネーションプレーから全員がむらなく得点して離れずについていき、12−10で前半を終了。
 後半、三陽商会は五指まで13−10とリードするが、その後13分ノーゴールの間に、香川田中の4連続速攻を皮切りに8連取を許し、14分岩本の得点を許して18−14とするまで猛攻であったが、その後は三陽もGKを元村に、また布田を投入してジリジリと追い上げ、25分飯島の速攻で22−22と追いつき、26分この日活躍の中川のサイドシュートで23−22と逆転するがどちらもゆずらず、24−24で延長となる。
 延長前半は3−2とリードした香川クラブであったが、後半布田の巧技の2連続シュートで逆転して、三陽商会が逃げ切った。

 

 大崎電気 27 (14-10, 13-11) 21 早稲田大学

 開始10分は互角の戦いであったが、パワーに勝る大崎電気がミドルシュート、サイドシュートが良く決まり、20分過ぎに14−7とリードするが、体格が勝る分ラフプレーが多く、2名の退場者が続き、後半早々14−12まで迫られた。しかしカットインが決まり16−12と突き放すかに見えたが、20分まで22−19とシーソーゲームになった。20分を過ぎてからは、力の落ちない大崎の一方的展開で27−21で終了した。

 

 湧永製薬 39 (21- 7, 18-11) 18 トヨタ車体

 湧永製薬が堀田のサイドシュートで先制し、山口、ブラマニスのシュートでリズムに乗る。トヨタ車体も岡部のサイドシュートで加点するが、前半10分過ぎ、立て続けにチャージを取られ5点差となる。湧永は高いディフェンスを活かし、パスカット、シュートカットによる連続速攻をしかけ、ゲームの主導権を握る。トヨタもセットプレーによる松本のシュートで応戦するが、湧永リードの21−7で折り返す。
 後半、湧永は浜本のサイドシュート、エース中山のカットインと好スタートを切る。トヨタも由だの速攻で反撃を試みるが、湧永GK坪根の好セーブに合い波に乗ることができない。後半10分過ぎ、トヨタはプレスディフェンスから速攻をしかけるが、湧永も田中・浜本のシュートでトヨタへの流れを食い止めた。攻守にわたり安定した湧永が勝利をおさめた。

 

 日本体育大学 33 (17- 8, 16-10) 18 北陸電力

 立ち上がり、田場のステップシュートで日体大が先制する。続いて佐々木のロング、田中の速攻、田場のロングで、序盤は日体大のペースで試合が進んだ。その後も田中のサイドシュート、瀧川の速攻で着実に加点した。前半14分、追いかけるかっこうとなった北陸電力は、手塚の速攻でリズムをつかんだが、日体大の高いディフェンスを崩すことができなかった。17−8の日体大リードで前半を終える。
 後半4分過ぎ、退場のため一人欠いたディフェンスのスキをねらった角谷のシュートで北陸が得点する。中盤まで両チームとも一進一退の状態が続いたものの、高さを生かした日体大が、佐々木、小倉のロングシュート、新垣の速攻で、粘る北陸電力を下し、勝利を手にした。

 

 日新製鋼 31 (18-12, 13- 8) 20 三景

 前半立ち上がり、日新製鋼はシュートミスが相次ぎ、なかなか得点があげられず、三景もシュートチャンスを作れず、3番奥秋のミドルシュート、8番山口のシュートで得点をあげるにとどまる。20分過ぎまでは、両チーム速攻やポストシュートを中心に一進一退の展開を繰り返す。残り10分にはいり、3得点にとどまる三景に対し、速攻やセットプレーからのサイドシュート、ポストシュートと多彩な攻撃を行う日新製鋼が8得点をあげ、前半を終了する。
 後半10分間、三景は日新のディフェンスを崩せず2得点しかあげられず、その間着実に加点(5点)した日新が優位に試合を進める。その後日新の攻撃が単調になり、20分過ぎまで1得点しかあげられず、その間に速攻で4得点をあげた三景が追い上げるが、残り10分、ポスト、サイドシュートを軸に8得点をあげた日新が、粘る三景を突き放し、勝利をあげた。

 

 大同特殊鋼 33 (18-10, 15- 6) 16 順天堂大学

前半立ち上がり10分間は、順天堂大学の足を使った攻撃から10分峰村のシュートやポストへのパスから確実に得点を重ねていった。対する大同特殊鋼は、ゆっくりとしたパス回しからポストへのパス、サイドへのパスを中心に得点を重ね、一進一退の展開であった。その後20分過ぎまでは、両チームともパスミス、シュートミスや、GKの好セーブなどあり、得点が入らなくなる。その間大同特殊鋼は着実に得点を重ね、10対18大同特殊鋼リードで前半を終了する。
 後半にはいり、順天堂大学は大同のディフェンスを崩すことができず、10番峰村のサイドシュート、2番植松のカットインシュートがあるものの、10分から20分までの10分間無得点であった。その間大同特殊鋼は10番末岡、17番中谷、13番清水が速攻、ミドルシュート、カットインシュートと着実に得点を重ね、後半15分過ぎからは大同特殊鋼の一方的な試合運びとなり、16対33で大同特殊鋼の勝利であった。