平成21年度 第61回全日本総合ハンドボール選手権大会<男子の部>      <女子の部12/24-27

戦評

決勝戦

大同特殊鋼 26 (14-11, 12-14) 25 湧永製薬     大同特殊鋼は、4年連続14回目の優勝

 大会四連覇を目論む大同と5年ぶりの優勝を狙う湧永との決勝戦。スローオフ直後の攻撃で湧永が坂本のサイドシュートで先制。対する大同は、渡久川のポストシュートを中心にセットオフェンスで4連取し、開始5分で4−1と3点リード。その後両者ともセットオフェンスを中心に加点していき、少ない点差で推移する引き締まった展開。18分から湧永は堅固なDFから新と古家で3連取し、21分で9−7とリードする。これを受けタイムアウトを取った大同は、1点を取り合った後、武田がサイドにロングにと一人で3連取する。さらに千々波が速攻で続き26分30秒12−10と抜け出たところで湧永がタイムアウト。湧永は古家の職人的ステップシュートで1点を返すが、大同は白、末松で得点し流れを渡さない。前半は14−11と大同の3点リードで終了。
 後半は、開始から両者パスミスが続く慌ただしい幕開け。4分、湧永・武藤が獲得した7MTを東長濱が冷静に沈める。さらに山中、福田がロングで続き3連取で6分45秒16−16と湧永が追いつく。そこからは両チームが気迫のDFで激しくプレッシャーをかける。ここで流れをつかんだ大同が速攻を中心に20分23−18と一気に5点のリードを奪う。湧永は東長濱が7MTのルーズボールを押し込むが、直後に白−末松のスカイプレーを決め、なおも流れを譲らない。22分タイムアウトを請求した湧永は息を吹き返し、谷村と新で3連取。大同がたまらずタイムアウトを取るが、湧永の勢いは止まらず合計5連取で27分30秒24−25と1点差に迫る。直後に白が個人技で中央を突破し26−24。その後も志水のファインセーブなどで粘る湧永を大同が振り切り26−25と1点差で辛くも逃げ切った。
準決勝2試合目

湧永製薬  31 (18-13, 13-14) 27 大崎電気

 湧永製薬のスローオフで開始される。序盤は湧永製薬が主導権を握り、前半7分には7−3とする。大崎電気も猪妻の連取で追い上げを開始するが、一進一退の攻防が続き点差が縮まらない。前半25分に湧永製薬が7mスローのチャンスを東長濱がきっちり決めて、16−12と4点差をつける。前半は18−13と湧永製薬5点リードで終了。
 後半も湧永製薬がリードを守る展開が続く。たびたび大崎電気GK浦和の好守などから大崎電気に流れが傾くと、湧永製薬の東長濱が追加点をあげて、試合の流れを譲らない。大崎電気は、後半20分過ぎに中川のカットインで1点差に詰め寄り、23分またもや中川のミドルでついに27−27の同点に追いつく。しかし、反撃はここまで。その後湧永製薬は坂本、古家、武藤が連取し、大崎電気を31−27で降ろした。湧永製薬・東長濱は、今日の試合12点を稼ぎ、大活躍であった。
準決勝1試合目

大同特殊鋼 34 (16-14, 14-16) 33 トヨタ車体
          (3-1 延長 1-2)

 開始直後の攻撃で車体が銘苅のステップシュートで先制すると、大同もすぐさま渡久川がポストシュートを決め、以後開始5分まで3−3と一進一退の展開になる。7分頃から、千々波をトップに据えた大同のDFを攻めあぐねた車体のミスを速攻につなげた大同が試合をリード。12分30秒、大同の3連取で5−9と4点のビハインドを背負ったところで車体がタイムアウトを請求、立て直しを図る。16分頃から登場した坪根を中心に車体のDFが機能し始め、さらに大同が二度に渡り退場者を出したところで車体が2点差まで詰め寄る。大同は要所での白の得点や高木のファインセーブでそれ以上の追い上げを許さず、16−14と大同の2点リードで前半終了。
 後半、5分までに車体が鶴谷、銘苅、門山の3連取で18−17と逆転に成功。対する大同はGKのセーブや車体のミスを速攻につなげ5連取し、9分で4点をリード。以後車体は坪根のセーブや銘苅のゴールを中心に徐々に追い上げ、27分に銘苅のミドルで30−29と抜け出す。ラスト1分、1点ビハインドで大同がタイムアウトを請求。直後の攻撃で武田が同点ゴールを決める。車体も残り30秒でタイムアウトを取り逃げ切りを狙うが、この攻撃はパッシブを取られる。大同がすかさず速攻を繰り出し勝負あったかと思われたが、このシュートは枠を外れ延長戦に突入。
 延長戦前半だけで3得点をあげた白の活躍や高木のファインセーブにより34−33で大同が車体を振り切った。
準々決勝4試合目

大崎電気 31 (17- 7, 14-11) 18 琉球コラソン

 一線防御を布く大崎に対しコラソンはカットインを繰り返し肉弾戦を挑む。これに手を焼いた大崎は開始5分までに3度の警告を受けるが、10分頃からDFが機能し始め、速攻を連発し、一気にコラソンを突き放す。13分で3−8と5点のビハインドを背負ったコラソンはタイムアウトを請求するが、勢いを止めない大崎は岩永や望月を中心に得点を重ね17−7と10点リードで前半を終える。
 後半、コラソンはGK内田のファインセーブからの速攻や水野−内田のスカイプレーなどで追撃を図るが、大崎も猪妻、岩永や途中出場の中川らで得点を重ねリードを守る。コラソンはアグレッシブな3-2-1DFで大崎のミスを誘い、速攻やスカイプレーを繰り出し3連取するなど意地を見せるが大勢を変えるには至らず、31−18で大崎が勝利した。
準々決勝3試合目

湧永製薬 35 (17-11, 18-12) 23 日本体育大学

 日体大のスローオフで始まったゲームは、湧永製薬が手堅い攻めで先行。しかし、日体大は昨年までと見違える動きを見せ、速攻で食らいつく序盤戦となった。10分過ぎ東長濱(弟)が、速攻からの7mスローを決めたあたりから徐々に日体大ペースとなる。日体大は速攻からのスカイプレーを決め、大いに会場を沸かせるなどして、11−8と日体大リードで展開した。一方湧永は、日体大のミスを拾い速攻で徐々に差を詰めてゆく。22分過ぎ湧永・新が速攻からのサイド逆スピンシュートを決め13−11とすると、日体大はたまらずチームタイムアウトを請求。しかし湧永は着実に加点してゆき、前半は17−11の湧永リードで前半を折り返した。
 後半に入っても、日体大は湧永のディフェンスを破れず、逆に湧永は東長濱(兄)を中心とした攻めで着実に加点。15分過ぎから湧永に退場者が続くが、日体大はこの好機を生かせず、ずるずると差を広げられてしまった。日体大GKの好セーブもあったが、35−23で湧永製薬の勝利で終了した。
準々決勝2試合目

トヨタ車体 30 (19-12, 11-14) 26 トヨタ紡織九州

 前日、大接戦で筑波大学を破ったトヨタ紡織九州と、現在、日本リーグ2位トヨタ車体の日本リーグ勢同士の対戦は、紡織のスローオフでゲーム開始。紡織・呉のシュートで先行したが、すぐに車体の高智のシュートで反撃し、これを機にGK木下の好守もあり、一気に5連取し引き離しに掛かる。紡織も負けずとGK松野の好守もあり、海道の速攻で3連取し1点差に迫る。しかし、車体も中盤には攻めあぐねていたが、徐々に点差を広げに掛かる。終盤には、一進一退となるが、車体はベテラン小沢のサイド速攻で、前半を19−12と車体リードで終了。
 後半、車体はGK坪根が登場。互いに3連取が出来ず、得点差は縮まらない。その後、車体の退場者が出たのを機に紡織は3連取で4点差まで縮めるが、ここで試合は終了。日本リーグ1勝1敗の両チームではあったが、30−26で車体が制し準決勝へ駒を進めた。
準々決勝1試合目

大同特殊鋼 36 (18- 8, 18-13) 21 豊田合成

 東海大学を破り勝ち上がった豊田合成と、現在日本リーグ1位大同特殊鋼の日本リーグ勢同士の対戦。豊田合成のスローオフで始まった試合は、大同千々波のポストシュートで得点が動きだした。2−2の後大同は末松、竹田の速攻などで一気に5連取、ゲームをリードした。合成も、中島、原、今村などの得点で食らいつき、一進一退の展開を見せたが、大同GK高木の好守もあり、再び4連取で引き離し、前半18−8と10点差をつけ終了。
 後半、合成はGK藤堂の好守と原などの活躍で、7点差まで追い上げる。一方、大同もここから地引のサイドシュートなどで6連取、試合の趨勢をを決した。その後は、一進一退となり、36−21で試合は終了。大同は準決勝へ駒を進めた。
2回戦4試合目

琉球コラソン 30 (12- 9, 18-13) 22 Honda

 2回戦の最終試合に日本リーグの琉球コラソンが登場。対するのは元日本リーグのHonda。Hondaのスローオフで試合が開始。Hondaはコラソンの3−3ディフェンスに対し、サイド・ポストとボールを回しコートを広く使って攻撃し、大井のカットイン、久高のサイドシュートなどでリードする。対するコラソンは中盤以降ディフェンスの足がよく動き、GK内田の連続好セーブもあり、Hondaのつけいる隙を与えない。前半18分コラソン東の速攻から、流れがコラソンに移り水野裕矢の速攻なので6連続得点し、前半を12-9で終える。
 後半も激しいプレスディフェンスを行うコラソンに対し、Hondaは攻めあぐねて、主導権をコラソンに譲る。21-14でコラソンリードの後半15分、試合の流れを変えようと、Hondaのベンチはタイムアウトを取るが、コラソンの流れを止められない。その後Hondaは速攻で反撃を試みるも及ばず、30-22でコラソンが勝利した。
2回戦3試合目

日本体育大学 31 (15-19, 16-11) 30 北陸電力

 昨日の1回戦で、FOGとの延長戦を勝ち抜いて2回戦に進んだ日体大と、2回戦から登場となる日本リーグ勢の北陸電力との一戦。日体大スローオフで始まった試合、先制点は北陸電力の神田がミドルシュートを決める。日体大も負けず、光武のポストシュート、信太のスチールやGK甲斐のセーブからの小室の速攻などで序盤4-1とリードする。北陸電力もGK丸山の好セーブや、落合のポストなどで5-5の同点に追い付く。北陸は3-2-1DFに変更し、積極的に仕掛けるが、日体大もGK甲斐を中心に守備を固め、一進一退の攻防が続く。北陸電力は前半24分に落合のポストで2点差をつけてから徐々にリードを広げ、19-15で前半終了。
 後半、日体大は東長浜の連続得点や小室のポストシュートなどで必死に追いかけるが、北陸電力も神田のミドルシュートなどで突き放す。その後は、日体大甲斐と北陸電力有江の両ゴールキーパーのファインセーブが続き、両チームともなかなか連続得点ができず、点差が変わらない。均衡が崩れたのは、日体大信太の速攻が決まり26-242点差になって、北陸電力がタイムアウトをとったあと、日体大が反撃の狼煙をあげた。日体大信太のミドル、カットインで26-26と同点とし、GKがはじいたボールを東海林が拾い、シュートを決めて逆転に成功する。その後も石川の速攻でたたみかけるが、北陸電力も落合のポストシュートで再び同点とし一歩も退かない。しかし、勢いに乗った日体大は、後半25分、石川のミドル、生川のポスト平子のカットインと3連取と突き放し、31-30で勝利した。日体大は信太が7得点の大活躍と、勝負所でのGK甲斐のスーパーセーブが光った。
2回戦2試合目

トヨタ紡織九州 32 (13-14, 19-17) 31 筑波大学

 トヨタ紡織のスローオフでゲーム開始。トヨタ紡織は4−2DFで筑波大の突進を防ぐが、筑波大は間を割ったり、サイドへボールを展開し、得点を重ね9分には6−2と筑波大がリードする。しかしトヨタ紡織も藤山のシュートなどで攻撃が締まり、13分過ぎには7−7と並んだ。この後は両チームとも好プレーが続出し、一進一退で展開する。トヨタ紡織は20分過ぎ流れを変えようとディフェンスシステムを5−1にスイッチ。筑波大はこれにはまり、ミスを連発し、得点が止まる。ここでトヨタ紡織が抜け出すかと思われたが、筑波大の速攻を追いかけた紡織DFが後ろから突き飛ばす形となりレッドカードが出された。これが影響し、前半は筑波大が14−13でリードして折り返した。
 後半トヨタ紡織は4−2DFでスタート。ゲームは筑波大のスカイプレーなど好プレーがあり、一進一退の展開。14分過ぎのトヨタ紡織の退場から流れは変わる。25−25でトヨタ紡織は不正入場でコートプレーヤーは一時4人となった。この機を活かし、筑波大は4連取。しかし紡織も日本リーグの地力を見せて、6連取で逆転、そのまま辛くも逃げ切った。
2回戦1試合目

豊田合成 29 (13-14, 16-10) 24 東海大学

 本日の第一試合は、三重ホンダクラブを破り勝ちあがってきた東海大学と2回戦から登場する日本リーグの豊田合成。豊田合成のスローオフで始まり、東海大学5番根本のポストシュートで先制点を奪うと、豊田合成も負けずに、15番芳仲のミドルシュートで取り返す。その後両者互いに 譲らす、前半10分で6-6の同点。その後は豊田合成が退場者を出したのを機に東海大学がリードを広げ前半10分には、17-8とし、豊田合成がたまらずタイムアウト。豊田合成は3−2−1防御から積極的にしかけ、東海大学のリズムを崩す。そして、14-13と東海大学の1点リードで前半終了。
後半も、豊田合成の積極的なディフェンスから、なかなかリズムが取り戻せない東海大学。ついに後半4分豊田合成が逆転に成功する。その後は一進一退の攻防が続くが、自力に勝る豊田合成が後半15分頃から4連続得点を奪い、23-185点差とする。そのまま豊田合成はリードを保って、勝利した。
1回戦4試合目

Honda 28 (13-15, 15-12) 27 日本大学

 3−3DFを布く日本大学に対し、Hondaは6番竹田のカットインなどで四連取し先行。ゴールキーパー陣の奮闘に支えられた日大は5番堀を中心にバランス良く得点を重ね、25分過ぎに2点差をつける。Hondaはシュートチャンスを作るものの得点に結び付けられず、15−13と日大リードで前半終了。前半だけで両チーム3枚ずつのイエローカードが乱れ飛んだ。
 後半開始早々にHondaが追い付き、以後緊迫したゲーム展開が続く。3番鶴見のサイドシュートなどを中心にゴールを重ねるHondaに対し、日大は7番土居の速攻・ステップシュートに加えGK村井の好セーブ連発などにより一歩も引かず、同点のままラスト一分を迎える。ここで鶴見がトリッキーなサイドシュートを決め、この一点を守り抜いたHondaが二回戦に駒を進めた。
1回戦3試合目

日本体育大学 30 (15- 7, 9-17) 25 FOG
            (3-0 延長 3-1)

 インカレ4連覇の日本体育大学とジャパンオープン準優勝のFOG対戦は、日本体育大学11番塚本の得点で始まった。立ち上がり日体大・キーパー甲斐の好守もあり、4連続得点で一気に差を広げる。中盤は点の取り合いの展開で点差は縮まらない。前半終了間際に再び4連続得点で、前半を15対8の日体大リードで終了。
 後半は、FOGの4連続得点で得点差は一気に縮まる。FOG:キーパー杉浦の活躍で日体大の攻撃を凌ぎ、後半20分過ぎには同点に追いつく。日体大が引き離しにかかるが、後半26分には再び同点へ、再び離されるが終了20秒前にも追いつき延長へ。
 延長前半、FOGの退場者もあり、一気に3連続得点で引き離す。
 延長後半も、日体大は連続得点で5点差をつけ、勝負はあった。日体大が逃げ切った。
 日体大の攻撃力を防いだ、FOGキーパーと攻撃の要の杉浦兄弟の攻守が目立った。
1回戦2試合目

筑波大学 30 (12-10, 18-15) 25 ユース日本代表

 インカレ準優勝校と18歳以下日本代表との一戦。ユースが左腕元木のステップシュートで先制する。その後はスピーディーな展開となるも、両者テクニカルミスやGKのファインセーブなどにより1点が遠い。筑波は木切倉や樋口を投入し突き放しにかかるが、ユースはGK角谷の再三に渡るファインセーブ、さらに元木がノータイムフリースローをねじ込むなどして、12−10と筑波の2点リードで前半狩終了。
 後半も両者一歩も譲らぬ展開。しかし7分頃から、ユースはアグレッシブなディフェンスから怒涛の4連取を見せ2点をリード。その後も白熱した試合が続くが、筑波がGK久保の連続ファインセーブなどでユースを振り切り、30−25で勝利した。
 ルーズボールに頭から飛び込むなどの全力プレーと、GKの好守が光る試合となった。
1回戦1試合目

東海大学 31 (15-14, 16-14) 28 三重ホンダクラブ

 大会初戦、インカレ3位の東海大学とジャパンオープン優勝の三重ホンダクラブの対戦は,東海大学11番牛越の得点で始まった。スピードと速攻の東海大学と、ポストを多用した三重ホンダクラブが、一進一退の展開を見せ、2点差以上離れることなく、前半は15−14と東海大学がリードして終了。
 後半も一進一退の攻防が続き、三重ホンダクラブキーパーの好守備もあり、20分過ぎまで1点差の攻防が続いた。23分、東海大学が一気に連続3得点し後半初めて2点差となる。その後、両チームとも退場者が出たが、28分東海大学3番永島のステップシュートが決まり3点差となった。残り1分で両チーム1点ずつ加点し31−28で東海大学が勝利した。若さとスピードが際だった試合であった。