≪ Korean Air 2007 安東国際女子ハンドボール大会 ≫

    Korean Air Andong International Women's Handball Tournament 2007



   ◆試合結果
      7/16(月), 7/17日(火), 7/18(水), 7/19(木), 7/20(金)

   星取表



◆7/20(金)

日 本   26 (11-10, 15-14) 24   中 国
(2勝2敗) (1勝3敗)
【戦評】
大会最終日は中国と対戦であった。中国は昨年のアジア競技大会後、元大同特殊鋼監督の姜在源氏が監督に就任し、実力的にも雰囲気的にも一新したチームで今大会に臨んだ。中国としては、アジア競技大会で日本に敗北を喫しているだけに絶対に勝ちたい試合である。日本としても、今後のアジアでの競争を考えると、必ず勝って中国に苦手意識を植え付けたいところである。
 日本は中国の高いディフェンスをくずすため、ボールを持たない選手がディフェンス裏を空走りする戦術を徹底した。その上でこぎみの良い球回しとダイナミックなクロスで、コンスタントに得点を重ねた。また守りでは、長身の中国に対してコンパクトな6:0ディフェンスを敷き、的確なピストン運動で中国のオフェンスを分断した。明らかに身長で劣る日本に対してなかなか得点できない中国は、かなりのフラストレーションが溜まっていたようで、オフェンスでのミスが多発した。前半は常に日本が1,2点リードしてゲームが進む展開となった。点差はあまり大きいものではなかったが、日本チームはあわてることなく、ミーティングで確認した点を着実にこなしていき、11-10の1点差で前半を折り返した。
 後半は藤井選手の鮮やかなディスタンスシュートで始まった。この得点を皮切りに、後半20分までに日本はリードを6点までひろげた。本大会を通じての課題に後半の試合運びがある。この試合も後半20分過ぎに退場がかさんだことや、攻めあぐねたことで中国の追い上げにあったが、攻めのシステムの中で藤井や田中のシャープなシュートにより、中国の追い上げを許さなかった。最終得点は26-24であった。
 この大会を通じて、チームの力が進歩していることが確認された。また、ウクライナ戦、中国戦といった「競った試合」で勝ったという経験は、チームにとって大きな財産となった。今後は国内での最終合宿を経た後、オリンピックアジア予選(カザフスタン)に入る。

【得点】田中・藤井7,東濱3,小野澤・水野・大前2,小松・長野・谷口1
韓 国   28 (17-13, 11-14) 27   ロシア
(4勝) (3勝1敗)





◆7/19(木)

韓 国   34 (14-11, 20-14) 25   中 国
(3勝) (1勝2敗)
ロシア   26 (13- 4, 13- 8) 12   ウクライナ
(3勝) (4敗)





◆7/18(水)

ロシア   38 (18-11, 20-14) 25   中 国
(2勝) (1勝1敗)
日 本   27 (16- 7, 11-17) 24   ウクライナ
(1勝2敗) (3敗)
【戦評】
大会3日目は昨日に引き続きロシア型のハンドボールを特徴とするウクライナとの対戦であった。試合前日のミーティングではビデオ分析を活用し、攻守両面での綿密な対策を立てた。
前半は田中美音子のゲームリーディングが光った。必要に応じた緩急の調節と、ダイナミックかつ素早い攻撃でウクライナディフェンスを翻弄した。守りでは体格面でのハンデを計算し、コンパクトで密なディフェンスをベースにシュートに対しては果敢に接触する守りでウクライナの得点を抑えた。さらに、飛田、勝田の両ゴールキーパーのファインセーブも光った。前半終了時点で16対7の大量リードを奪った。
後半に入り10分経過したころ、前半の良いリズムが少しずつ崩れ始めた。さらに、ライン際の攻防により退場者が連続してしまい、苦しい展開となった。前半の大量リードに守られる形で、なんとか混乱することなくゲームを展開することができたが、点差は徐々に縮まってゆき、後半20分の時点で4点差となった。ここで日本に落ち着きを取り戻したのは、やはり田中美音子選手であった。自らのステップシュートと相手ディフェンスの退場を誘うポストへのパスで、最終的なゲームの流れを日本側に呼び込み、27対24でタイムアップを迎えた。
後半、相手にリズムが移ってからの攻防には課題が残るが、ミーティングで確認した事項を徹底すれば、たとえウクライナほどのチームであろうとも、結果を残す力があることがわかった。本日の試合は日本チームにとって大きな自信となったであろう。なお、MVPには田中美音子選手が選出された。

【得点】田中8,早船5,金城4,水野・東濱・植垣2,
    大前・佐久川・谷口・藤井1





◆7/17(火)

ロシア   38 (13-14, 25-18) 32   日 本
(1勝) (2敗)
【戦評】
大会2日目の対戦相手は、現在世界チャンピオンのロシアである。身長、体格を生かした組織的な防御と攻撃に加え、素早い速攻が持ち味のロシアに対し、日本もポストをマークするためにコンパクトでありながら、真ん中のピストンを激しく行う防御から、素早い攻撃で相手にプレッシャーをかけることを目標にゲームに臨んだ。
 谷口のポストで先制する。さらに大きく素早いクロスを織り交ぜた組織的な攻撃でチャンスを作っていく。ディフェンス面ではロングシューターに対する的確なプレッシャーと、GK勝田の好守により、ロシアに”攻めにくい”状況を作り出した。とはいえ、ロシアも高い壁で日本の攻撃に対抗する。日本にとって、いかに得点の突破口を見つけるかという、我慢の時間が続いた。前半13分すぎ、長野の果敢なカットインで7mスローを獲得したのをきっかけに、流れが日本に傾いた。佐久川の速攻や植垣のミドル、さらには相手ディフェンスの退場を伴う7mスロー獲得などで得点を重ね、前半残り5分の時点で12対12の同点となった。日本チームは3度もの退場を負いながらの前半であったが、一時は5点のビハインドをきっちり取り返し、さらに1点リードの14対13で後半を迎えた。
 後半も日本チームは攻撃の約束事項を確認し、チームとしての攻撃に徹した。さらにディフェンスもよく機能し、ライン際の攻防から退場者を出すものの、バックコートプレイヤーへのプレッシャーにより、ロシアの攻撃を分断した。後半残り7分の時点で29対29の同点であり、1点を争う緊迫したゲームであった。しかしその後、集中力の欠如かディフェンスの戻りが遅れ始め、さらにミスも重なってロシアに速攻を許してしまった。結果的に終盤の戦い方が明暗を分け、32対38でのタイムアップとなった。
 強敵ロシアに対し、日本チームもはやいテンポで持ち味を出しながら戦った。この試合で日本チームは多くの戦術を試し、確認できた。さらに、連続失点をいかに止めるかという課題も再認識できた。オリンピックのアジア予選で戦うカザフスタンもロシア型のチームであり、その前によい練習の機会となった。

【得点】植垣8,田中7,佐久川6,小松・谷口3,長野・山田2,金城1
韓 国   30 (19-11, 11-10) 21   ウクライナ
(2勝) (2敗)





◆7/16(月)

韓 国   36 (19-11, 17-17) 28   日 本
(1勝) (1敗)
【戦評】
7月16日、安東国際ハンドボールトーナメントが開幕した。この大会は韓国をはじめ、中国、ロシア、ウクライナといった世界の強豪が集う。日本代表女子チームはこれまで欧州遠征、ヒロシマ国際とハードなスケジュールをこなしてきた。この大会終了後には大きな目標であるオリンピック予選を控えている。ベルトバウワー監督は「安東国際ハンドボールトーナメントでは、勝敗の結果よりもチームの成長を確認することが重要」と、この大会を位置づけた。
 初戦の対戦相手は韓国であった。早船、水野の連携から目の覚めるような速攻が決まり、日本が先制。直後に韓国21番Hong選手が7mスローを獲得。自らシュートを決めた。その後、金城選手が技ありのカットインを決めれば、韓国は大きなクロスからポストを使ったプレイで取り返し、一進一退のスタートとなった。
終始、日本チームはこれまで育ててきた攻撃のシステムを確認するため、センターの長野を中心に組織だった攻撃を心がけた。しかし、ボールハンドリングのミスや簡単なテクニカルミス、さらに、微妙なパスのタイミングのずれなどによって、なかなか日本本来の攻撃をすることができなかった。
日本チームのエンジンがかかり切らない間にも韓国チームは着地に得点を重ね、前半15分経過の時点で5対9の4点差とリードされた。その後は4、5点差を保ちながら時間が経過していった。日本チームとしてはなんとしてもこの時間帯で点差を縮めたいところであったが、前半終了間際に簡単なミスから相手の連続得点を許してしまい、11対19の8点差で前半を折り返した。
 後半は9点差をあけての点の取り合いが続いた。安全圏であると判断した韓国はメインメンバーをベンチに下げ、若手をコートに送り出した。
韓国にペースを握られたまま、煮え切らない展開が続いた日本チームではあった。しかし、植垣選手や藤井選手といった若い選手がシャープなシュートを韓国ゴールに打ち込み、多くの得点を挙げた。植垣選手自身、「競った試合の時と点差が開いた試合ではディフェンスのプレッシャーが違うので、必ずしも納得はできない」とコメントしていたが、日本チームの得点源として期待できるであろう。
結果的には前半の点差がそのまま後半に響く形で、28対36でのタイムアップとなった。
 欧州遠征、ヒロシマ国際そして安東国際ハンドボールトーナメントとハードなスケジュールをこなしたことでの疲労や課題の消化不良は否めないが、テクニカルミスを減らすこと、選手間のコミュニケーションを密に保つことにより、チームとしてさらに質の高い試合ができたであろう。
明日はロシア戦である。フィジカル面でのハンデは誰もが理解している部分である。チームとして、いかにハンデを克服するかが明日の鍵となるであろう。

【得点】植垣8,谷口4,大前・佐久川3,水野・小松・藤井2,
     小野澤・長野・早船・金城1
中 国   31 (15-10, 16-10) 20   ウクライナ
(1勝) (1敗)



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